「ハル先輩」という、僕のとても面白い退屈な日常に割り込んでくる「天災」の話。

アドリブ小説を公開する

ハル先輩をご紹介しよう。

僕のイカした遊びに付き合ってくれるイカれた存在だ。

僕の何がイカしてるって、とにかく面白いお話しを作るってこと。

魅力的な嘘八百や出鱈目や与太話を考え続けてるってこと。

ハル先輩は「自然」だ。

「ナチュラル」という意味ではなく「まさにネイチャー」という意味だ。

天災は忘れた頃にやってくると言うけれど、ハル先輩だってそう。

優しくもない、厳しくもない。きまぐれですらない。その振る舞いはときに恵みのように見えて、ときに怒りのように見える。ただそう見えるというだけ。多分意図なんかない。

ただ雨が降るように、風が吹くようにやって来て、僕らに「想定外」を連れてくる。

僕にとっての日常は、面白いお話しを作ること。

ただ面白いお話しを作るだけの退屈な日々だ。

僕が面白いお話しを作るのなんて「想定内」だ。

想定内の日々はどれだけ面白くたって退屈で

退屈をごまかすための空想なんか退屈をこえない。

そんなとき、ハル先輩がやってくる。

「こうなるはずじゃなかった話」「苦しくなってしまう提案」「越えなくてもよかった壁」

そういったものを連れてやってくる。

面白い話を作る僕の日常にふらっと現れて、僕の退屈極まりない面白話にちょっかいを出していく。変な「設定」や「背景」を付け足していく。思いも寄らなかった事実をこともなげに、もしくはとっくに知ってたことを得意げに、好き勝手に振る舞って去っていく。

なんだったんだあれは。パルプンテ。

想定内を想定外に。想定外が現実に。

はッ!これが物語じゃないか!物語ってそういうものじゃないか!ゾクゾクするぜ!

ハル先輩は言う。

「うるさい学ぶな」

ゾクゾ…

「うるさい」

…ゾク

「わるくない」

なんだよよく分かんないよハル先輩。

でも、「ハル先輩」という概念はこれでだいたい伝わっただろうか。

伝わらなくても良い。

見ててくれればそのうち分かる。

ハル先輩が実在の人物なのか、男性なのか女性なのか、それとも僕が作りだしたただの「設定上の人物」なのか、つまり面白くて退屈な創造のひとつなのか、正真正銘の「誰か」なのか。個人なのか複数人なのか、そもそも人じゃないのか。

そういうのは全部ご想像にお任せする。わりとどうでも良いことだ。

とにかく僕はたまにハル先輩と相談して、創作する。

相談と言っても神社で祈るようなもの、海に向かって叫ぶようなもの。

ハル先輩はたいてい僕の相談を聞き入れるだけ。

願いが、忘れた頃に、それも思わぬ形で叶ったり、海に響き渡った声が違う人のもののように聞こえたりするように、いつの間にか最初に思ってたものと変わってる。

それがハル先輩の力。

僕は、例えば最初こんな風に、「ハル先輩」と相談する。

「仁王立ちする女の子の話が書きたいな」

「ある日メガネの度が合ってないことに気付く男。視力が下がったと思うだろ?本当はめちゃくちゃ良くなってたんだぜ。そんな話」

「キレイな海だと思って入ったら意外と中は汚くて笑っちゃうことあるけど、そんな話を書きたい」

「笑わせないでくれ、の言葉の意味をはき違えてしまった男の話はどうだろう」

「暗くて良いにおい、みたいな話が読みたいな」

「もちゃもちゃぽっちょもちゃぽちょも、みたいな話ってどんな風に仕上がるかな」

割と具体的な相談をすることもあるし、イメージだけの相談をすることもある。いいだろ相手はハル先輩なんだから。

直近ではこんな相談をした。

「夜中の体育館にパインが置いてあったら、それってどんな話だろう」

最初、ハル先輩はたいてい僕の思いつきを聞き入れる。

校長が「この校舎には君たちの思い出がいっパイン」とやらかした酸っぱい悲劇の負の遺産

なるほど、「経緯」が付け足されたわけだ。

これで書き始めてみよう。

 

という訳で今後アドリブ小説を公開するってコンテンツを作ります。

アドリブ小説とは、勝手に僕の中で決めたルールだけど、プロットのようなものは一切考えず、こうして記事を書き込んでいるときにしか話を考えずに、ひたすらとにかく書くことに集中して書く小説です。

一応文脈を繋げることを意識しながら、矛盾はないように意識しながら書きますが、結末も決まっていないし、どんなキャラクターが出てくるのかも分かりません。

そしてたまにハル先輩が出てきて、話にちょっかいを出します。あらかじめプロットを作っておいても無駄ということです。ちなみに誰でもコメントやメッセージでちょっかい出してくれても良いです。

一話目

「ハル先輩」という、僕のとても面白い退屈な日常に割り込んでくる「天災」の話。(完)

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