町づくりのお手本「うらほろスタイル」に注目!でも真似しちゃダメ。

先日、縁あって十勝にある浦幌町というところに行って来ました。

浦幌と言えば町おこしの先進地域です。

地域づくりとか町おこしに多少なりとも関心のある方であれば「うらほろスタイル」と名付けられたまちづくり計画については聞きかじったことくらいはあるのではないでしょうか。

事実、「うらほろスタイル」には注目が集まっており最近では多くの視察が訪れているようで、これからのまちづくり、地域づくりの理想的なモデルケースの一つになっていくことは間違いないでしょう。

そんな町に遊びに行って、そこで学校の先生をやっている先輩と、地域おこし協力隊の方と、釧路の教育大学生の方とお話をしてきました。

そこで得た発想はタイトルの通り。

「うらほろスタイル」に注目!でも真似しちゃダメ。

モデルケースに成り得るからこそ考えたいテーマです。

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うらほろスタイルって?

そもそもうらほろスタイルって何でしょう。

うらほろスタイルの基本的な柱は3本です。

①地域への愛着を育む事業

②子どもの想い実現事業

③農村つながり体験事業

細かい内容はココを見て欲しいのですが、それぞれ何となく何をする事業なのかは分かると思います。

ポイントは、いずれも子供を中心に据えた町づくり計画であることです。

なぜ子供なのかと言うと、うらほろスタイルがめざす町づくり計画が「持続可能な地域を作る」ことが目的であり、地域の継続であるから。

そのためには、これまで培ってきた「地域の在り方」というものを次世代に引き継ぐという発想が不可欠。

「地域の愛着を育む事業」を通して、子供たちに自分達の住む地域の魅力を発見してもらい、愛着を持ってもらう。=地域に誇り。

「子どもの想い実現事業」では、自分たちの魅力的な町に何があればもっと魅力的になるか、何があると嬉しいかをこどもたちが考える。考えるだけでなく実際に地域の大人たちの協力でそれが実現し形になるところまでを見せる。=地域貢献の実感。

そして「農村つながり体験事業」には実際に地域に住み、第一次産業で地域を支えている方との交流を通し、人間同士のつながりや、食とのつながりなどの大切さを体感するチャンスがある。=つながりの実感。

こうして地域に誇りと愛着を持つ次世代を育てることで、子どもたちが将来も住みたい町をつくり、地域存続という目的を達成する鍵とする。

今では「将来ここで暮らしたいって言っても仕事なきゃね」ってことで「若者のしごと創造事業」なんてのも派生して4本の柱になっているようだけど、基本的には今の子供を軸に据えた3つの事業が中心なのでしょう。

地域の理想像としてのうらほろスタイル

「うらほろスタイル」は決して真新しい発想ではありません。

「そんな考え方があったのか!」ではなく、「そういうことがやりたかったんだよな」って多くの地域に思われるようなまちづくり計画でしょう。

感心するというよりはどっちかと言うと、「なんで我が地域ではこんな風にならないんだろう?」とため息混じりの感嘆で以って見つめられる存在だと思います。

そして詳しくどんなことをやってるのかを見てみても、特に珍しいことをしている訳ではない。

子どもの想い実現事業と名前はついていなくても、多くの市町村で、地域の子どものアイディアを形にするということはしているはずですし、次世代に自分の町の歴史や文化を伝えようという活動もしているところは多いでしょう。

実際、僕の住む士別市や朝日町でもそういった活動はある。

浦幌町が稀有な成功例となっているのは、多くの町にとっての「理想のまちづくりの形」がそれに関わる人にも、完璧な部外者から見ても、一目で分かる形で体系化した形で実現しているところにあります。

当たり前の町おこしができる地域・できない地域

民間と行政が手を取り合うとか、教育機関が町と関わるとか、そういうことはしてるはずなのにイマイチ「まちおこし」としての盛り上がりがない。

なんで?なんで?と考えてうらほろスタイルをよく観察したとき、民間、行政、教育の目を一斉に「まちおこし」に向けて一体感を生み出すための「つなぎ」の役割を担う部分に欠けているのだという結論に至るでしょう。

つまり多くの地域では行政や教育といった大きな組織に匹敵する力をもつ民間がおらず、勢力や視点にバラつきがあるからこそまとまらず、「地域が一体となるまちおこし」ができずにいる。

浦幌の場合、キーパーソンの一人となるのは近江正隆さんという方のようです。

近江正隆さんのブログ

近江さんとうらほろスタイルの成り立ちについて分かりやすかったのはこの記事

この方が強力な裏方となり、「子ども」というものに視点を据えて地域を繋いだからこそうらほろスタイルの原型が生まれ、上手に三者の力が拮抗し回転を始めたからこそ雪だるま式に「町おこし」というムードが大きくなって行ったのでしょう。

ああやっぱそうなんだ、誰か強力な個人がいなきゃ、なかなかみんなで一体となってまちおこしとはならないんだ。

そう思う地域もあるかもしれません。やっぱりヒーローがいなきゃダメなんだ。

だけど浦幌町の他地域に対する功績は、「うらほろスタイル」というモデルを作ったことで、強力な誰かがいなくても民間、行政、教育が一体となってまちづくりに当たるシステムをインスタントに地域に適用させることができるようにしたことだと僕は思う。

アプリを開発したみたいなもので、もう町おこしがなんだとか迷ったりなんだりせずまちおこしがしたいと思ったら「うらほろスタイル」をこの地域にインストールすれば良いのです。

モデルケースとして成り立つというのはこういうことでしょう。

でもダメだろ安易に適用するのはどうだろう、という話です。

理想のまちおこしは適用すれば実現となるのか

まちおこしとか地域づくりを巡っては、色々な思惑があると思います。

人々がうらほろスタイルに注目するのは、もしかしたら「やっぱり地域づくりには民間主導じゃないとうまくいかない時代なんだよ」とか、「やっぱり教育に力いれなきゃ」、「やっぱり行政が町民に歩み寄らなきゃ」っていうやっぱり系の持説の補填のために利用することもあるでしょう。

またうらほろスタイルに照らし合わせれば、この地域はイマイチ住人のまちおこしに関する意識が低いとか、行政がやる気がないとか、教育機関って言っても子供が少ないし…とか、自分の地域に足りない要素がめちゃくちゃ目立つと思います。

更に言えば、やっぱり町おこしの肝は「ヨソモノ・ワカモノ・バカモノ」にあるという風に、よく分からないフレーズに期待する人もいるんじゃないか。

そういう小さい思惑は置いといて、仮にうらほろスタイルをそのまま適用して、わが町でもこんな風にしましょうと言えば分かりやすいしすぐにでもできると思うんだけど、それで実際に適用したところで理想の町おこしが実現するかと言えばその可能性は限りなく低いと思われます。

なぜなら、うらほろスタイルは多くの市町村が今までやりたかったのにできなかったことであって、構造としては新しいものではないから。

みんな分かってるのにできなかったものを、あらためてインストールしなおしたところで、現状は変わらない。とても特効薬にはならない。

また、「うらほろスタイル」が画期的だと目してこれに解決を求めるのであれば、その地域はたいていの地域よりまちおこしの考え方では何歩も遅れている。浦幌は、一番王道なことをちゃんとやれてる地域であって、そういう意味で注目に値するのです。

いや遅れているからと言って成功しないと言うのはあまりに乱暴ですが、今まで自然に行政・民間・教育の鼎立が理想だという理念にそれぞれが至らなかったのであれば、そもそも「うらほろスタイル」なんて必要ない独特な地域なんじゃないか?と思うのです。

それなら自分の地域に相応しいスタイルを探した方が僕は面白いと思う。

また、うらほろスタイルは言わば基本の土台であって、「そこで何を成すか?」という当たりに各地域の特色が表れるはずです。

まちおこしを行う上で理想的な土台をインスタントに拵えたところで、自動的にまちおこしが成功する一括パック的な計画である訳でもなし、ましてや借用した土台の上では仮に意識の底上げがあったとしても所詮まちおこしっぽいことをまちおこしっぽくやるだけの繰り返しで、結局今までと変わらねえってことになるでしょう。

真似しちゃダメってのは注意喚起というよりはむしろ、まちおこしの理想であり王道を歩けてしまっている浦幌町を、王道すぎるが故に稀有な存在である今の状態のままにしておいてほしいと言う願望に近い提言です。

似たようなとこが増えても面白くないじゃないですか。

もう後追いしたってうらほろスタイルでは浦幌もどきにしかなれません。

だから、浦幌に「そういう手があったのか!」と言われるようなまちづくりをした方が絶対に良い!と、実際にその土地に行ってみて、直感的に思ったのでした。

町づくりのお手本「うらほろスタイル」に注目!でも真似しちゃダメ。(完)

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