青空文庫で小説を読むときって、目当ての小説のタイトルをブラウザのサーチエンジンに打ち込んで、青空文庫で公開されてたらホームページから読むという人が多いと思います。
わざわざアプリを入れる必要性を感じてない人がほとんどじゃないでしょうか。
僕はわざわざアプリを入れてます。
「青空文庫 アプリ」で検索すると先頭に表示されたのが「i読書 青空文庫リーダー」だったので以来これを利用しています。
青空文庫リーダーアプリにはいろいろ種類があるようですが、僕はこれしか使ったことがないです。
これが一番使いやすい、読みやすいと思っているわけではなく、単にこれしか使ったことがなく不自由がないから使っているに過ぎないのですが、強くおすすめします。
フォントの色を替えられる機能が最高だったからです(他の電子アプリも文字の色くらいかえらえるかもな、と思いながら書きます)。
青空文庫リーダーアプリの壮観な文字色設定画面
写真は割愛したけど黄色系、赤系の文字もあります。
今読んでるのは谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」。「鉄色」で読んでいます。くぅ、良いですね!
色を決めるのになかなか時間を使いました。
どの色がもっともマッチするのか。
面倒な人はめちゃくちゃ面倒だと思うけど、この色を決める作業が僕はかなりハマります。
145種類の色から選べます。しかも感動したのは、すべてに色の名前がちゃんと書いてあるところ。「鉄色」も良いが「濃藍」も良い。「白群」も良いですね。
僕こういう色が揃ってる光景が好きで溜まらないのです。絵心はないのですが絵具がビシッと揃った画材コーナーを眺めるのは好きです。懐に余裕がありまくれば使わないのに絵具を揃えたりインクを揃えたりしたいところ。
この青空文庫リーダーの文字色設定はコレクション欲というか、そういうのが満たされて、全色で本を読んでみたくなる。
それぞれの色に似あう小説を探したくなると言っても良いかもしれません。
こんな色あるのか、というかこの色こんなかっこいい名前なのかと眺めていると本を読むのは後回しになりがちです。
ただ、文章に漂う気配にマッチする色を選ぶことができれば、読書の捗り方、頭に入り方が向上する気がします。
グールド魚類画帳の文字色
余談だけど、文字の色が工夫されている本と言えばみなさん何を思い浮かべますか?
僕が知ってるのだと、『果てしない物語』と『グールド魚類画帳』です。
実は『果てしない物語』の仕掛けは知ってるというだけで実際に読んだことがないのでごにょごにょとしか言えないのですが、『グールド魚類画帳』についてははじめて開いたとき、文字色の淡さに感嘆いたしたことをよく覚えています。
舐めるように見てしまう本ですね。飾っておく本としてもおすすめです。
文字の色が淡い赤だったり黄色っぽかったりするのですが、これはタスマニアにて流刑を受ける画家グールドが、インクがないので身近なもので作ったインクで書かれたという設定になった上での文字色の変化なのです。
絵の具はあるがインクはないから、書くためには手許にあるどんなものでも使わなくてはならない。たとえば今日は、肘からかさぶたを少々剥し、ゆっくりとにじみ出す血に鮫のあばら骨から削り出したペンを浸して、いまあんたがたが読んでる文章を書いている。P56
章ごとに差し挟まれる魚の絵の精巧さも良い。生々しさがにおい立ち、語りに飲まれる。
文字色の工夫は読ませるための一助になってることは間違いないと思われます。
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