風邪を引いて心細いからってブログを書く男

書くことを仕事にしたいなと思った理由はいくつかあるんだけど、その中の一つに「風邪引いててもできる」からというものがあります。

僕は風邪を引くと咳が酷くて、全然喋れなくなってしまう。

その代わり熱があまり出なくて、寝込まなきゃいけないことは少ない。

熱が出ないから咳が長引くってのもあるんだろうけど、毎回毎回、風邪を引くと咳で苦しみ、夜寝られなくなって、明け方ぐったりというパターンです。

じゃあ風邪ひかないように気を付けなさいよ、社会人なら自己管理は基本だよってのが正論なんだろうけど、僕は風邪って避けようとして避けられるものではないと思うからその正論嫌い。気を付けてても風邪ひくときはひくだろうし風邪くらい引いて良いじゃんって思う。

で、わりかし僕は昔から風邪を引きやすいし、風邪をひくと長いこと喋れないというのがあるから、一人で黙々とできる仕事が良いなあー、書く仕事だったら風邪引いてても健康っぽく振る舞えるなと思ったことがあって、書く行為を信頼してる感があります。

今まさに風邪引いてるところで、咳がどんどんひどくなってるんだけど、こうして記事を書きながら、今回は熱もあるようだぞってことに誤魔化しが効かなくなっている。座ってるのがマジで辛い。顔が熱くて気持ち悪い。あと動悸もある。いくつかは薬の副作用かもしれない。

自分で自分に無理して書くなよって思うし、無理して書く意味の無さ具合も分かってる。

僕には5000人の読者がいるんだーとかだったら多少無理しなよって話だけど、このブログって固定的に見てる人いるのかい?

投稿したら検索にかからなそうなものでも一定数はアクセスがあるようだから、一応目を通してくれてる人はいるみたいだけど、その人達だって僕が月水金は絶対に何か書くんや!って決めてることは知らないだろうし、「おい今日更新してないぞどうしたツカダ、何かあった?」って心配することも無いだろう。

数の問題ではないけれど、体調が悪いときにまで無理して更新する意味はそれほど大きくない。

正直、僕は書いても書かなくても何も変わらん。僕一人がちょっと残念…って思うだけ。

でも僕一人がちょっと残念って思うのは、けっこう僕の中で大きなことで、そう思える程度には僕は書くことが好きなのだなとこういうとき思う。

かつての僕が風邪引いてても書くことはできると思ったから書くことに頼ろうと決めたのなら、こういうときこそ何か書いて、ほら書ける、大丈夫だって言い聞かせるべき。

もしくはこうして体調が悪い状態でも僕は書く人間なんだってアピールして、物書きにありがちな一種の狂気のようなものを演出するという意味においても、僕は無理をしてでも書いておくべきだと思う。

でも僕いま辛いし、もう寝たいし、正直「物書きにありがちな一種の狂気」も存分に持ち合わせているとは思えない。

吐き出さなきゃ辛くて辛くてどうしようもないとか、表現への渇望とか、他者との精神的な繋がりを異常に求めて、それを隠そうともしない性質とか、そういうものを持ち合わせてはいない。

 

あ嘘、今の嘘。

 

ほんとはすごく持ってる。やっぱ狂気なんて持ってないと思うけど、狂気を自覚してる時点で正常な訳で、そういう意味で物書きに付き物の狂気という言葉を知ってしまって以降、僕はそういうものを持てなくなってしまっているというか。

精神的な繋がりは人一倍求めている。本当はブログを読んでくれている人が少しでもいるというだけで、その繋がりを確かめたいばかりに何か書かなきゃって強迫的に思ってしまうし、せめて体調悪いから今日書けないっすわくらいは言うべきだなと、普通に社交的な自分が思ってる。

表現への渇望だってもちろんある。

風邪を引いたとき、熱があるとき、自分で自分の身体を観察しているのが分かる。熱に浮かされたときに見る夢を楽しみにしていて、体内で白血球やらウィルスやらが繰り広げる激動と、部屋の静けさのギャップの面白さを言葉にしようとしている。

もしくはこの不快感を誰かに伝えて、誰かの不快感を知る準備をする。

あわよくば僕と同じように風邪を引いた誰かが夜中、ふいに目が醒めて眠れなくなって、寂しさまぎれに読む記事が奇跡的にこれで、「うわこの人書いて咳の辛さ誤魔化そうとしてるよ」とか、「この人も不安な人間なんだな」とか感じて、ベッドの上で一人取り残された気分の誰かの、眠る勇気になったら良いなとか思う。

そのためのタイトルをどうつけようか。「風邪 さみしい」「風邪 心細い」とかで検索して、もし誰かがこれを読んだら、少しは自分のために書かれたものだとか思ってくれるだろうか。

いやどうだろうな。こんなに風邪に苦しんでる人にとって役に立たない記事もないだろう。

でも風邪ってどうにかこうにか症状が去るまでごまかしごまかし耐えるしかないしねえ。こうしてブログを通してでも、時間とか場所を越えて、ちょっとでおおしゃべりできると良いと思うし、やっぱ書くって良いよねって思う。

後半ちょっと殊勝なこと書いたようだけど、僕は優しい人間なのではなく弱いだけである。

僕は今自分の身体の辛さから逃れたいばかりに手を動かしている、心細い誰かの役に立ちたいというより、心細いので誰かに認知して欲しいと思いながらこんなの書いてる。ほんとダメである。

風邪を引いて心細いからってブログを書く男(完)

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