人はいつも未来の自分を買う

発想と行動を記録する

人はいつも、結局自分を買っているのだと思います。

例えば、ある絶景の眺望をこの目で見るためにはある程度のコストを要します。

この買い物は「絶景の眺望をこの目で見る代」ではなく、「絶景の眺望をこの目で見る私代」だろうと思うのです。

「綺麗な景色を見る私」を得たくて、そこにたどり着くまでのお金と労力を払う。端的に言えば「景色に価値がある」と思っているのではなくて、「その価値を摂取する自分」に価値を感じるのではないか。

あらゆる買い物は自己実現を目的としているのではないか。そんなことを考えました。

ちょっと前から人はモノではなく経験を買うとか、メリットではなくベネフィットを伝えるべきだというような話はあったので、いまさらな話かもしれません。

しかし、なぜなのかは分からないけれど、最近は強くこのことを実感するので、少し整理しておきたいと思います。

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本を買うことで実現したい自分像

僕はよく本を買うけれど、それはその作品が素晴らしいからではなく、「良い本を読むことができる自分」を想像します。

「新しい知識が増える自分」、「難しい本が読める自分」「物語に没頭し、リラックスしている自分」、「驚く自分」。

より深く自分の内面に潜りこみ、その中心の部屋で薪をくべるような体験をしたいと思っている。

そういうものを得るために、自己実現の手段として僕は本を媒体にしようとする傾向にあります。

本に集中しているつもりで、実はどこまでも自分のことしか考えていないのではないか。

自分のことしか考えていないと言うと嫌な言い方かもしれないけれど、僕らは自然にそうやって、常に自分主体で、大きな世界からいくつかのパーツを自分に取り込んでいくという作業を繰り返しているのではないか。

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何かを生み出すときにも未来の自分を考えている

やはり今にはじまった話ではなさそうです。

ただ、これはつい忘れてしまう。買い物をしているときにはごちゃごちゃ考える必要はないかもしれないけれど、例えば自分が何らかの価値を生み出したいと考えるときはどうだろう。

つまり世界から何かを取り入れるのではなく、世界に何かを付け足す作業を行う場合。

きっと何か価値を生み出そうとする行為も自己実現の一つになってしまう。

つまり、価値ある何かを生み出すことで、自分が有名になったり褒めたたえられたり尊敬されたりする未来を夢見てしまう。そこまで直接的なことじゃなくても、自分らしさにフィットする何かに浸りたいと言った漠然とした欲求に従って何か価値を生み出そうとすることがある。

例えば僕なら、小説を書くようなときでも、いつもそのあとの自分のことを考えて書いてしまったりする。このブログだってそう。ブログはわりと明確に自分のために書いてる。

それが悪いことだとは思いません。いつも僕は歯切れの悪い言い方になって申し訳ないんだけど、悪いことだとは思わない。自己実現の手段が消費ではなく、創造にシフトしていく時代のように感じているから、むしろとても自然なことのように思える。

未来の自分を少しずつ理想的なものにしていくために、未来の自分を満足させるためのものを書く。自分が読みたいものを書くというよりもっと深く、書き始めるときに夢見た書き終わった自分が少しだけ「本当」になることを願って書く。

価値はどこまでも他人の未来に依存している

思えば、だからこそ僕は誰かの創造行為を豊かなものにできるような環境を作りたいと思ったのだった。

価値あるものを作るというのは残念ながら幻想のように思う。きっと世の中には、今の自分より少しだけ価値があるはずの、未来の自分を見ている人がたくさんいる。それがより本当らしくなるようなお手伝いができるようになれば面白い。

価値はどこまでも他人の未来に依存している。

これを伝えるのは少し難しいです。でも漠然と思う。

誰かの未来を豊かにする気持ちがなければ。どこかの誰かの1秒後でも30分後でも、もしくは1年後でも良いから、とにかく「誰かのまだ見ぬ世界」が素晴らしくなると思えるものを作らなきゃと思う。

このように他人のことを考えているような文章を書くのも、未来の自分がかくあれと思っているからだろう。

そしてもっと赤裸々に言えば、かくあるべき自分を他人に知ってほしくてこんなことを書いているんだと思う。

ここに至れば自分のことを考えているのか他人のことを考えているのか分からなくてもう混乱なんだけど、どうなんだろうな。頭で分かっていても実行するのは難しい。

ここまで書いて「未来」ではなく「今」を生きなくてはとも思うし、自分のことばかり考えるのも他人のことばかり考えるのも不可能っぽくて、もう何もかも表裏一体で、どちらかを選ぶのは難しい。

とりあえずこのブログでは、こうやって少しずつ迷いを整理して、虚勢みたいなのでも良いから理想的な未来の自分を書いていこうか。

人はいつも未来の自分を買う(完)

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