『パイナップルの花束を君たちに』~夜の体育館で声を潜めて待つ(9)

前回のお話し→『パイナップルの花束を君たちに~』~大人になっても本質的に同じことをしてたりする(8)

最初のお話し→『パイナップルの花束を君たちに』~彼らの大人になれなかった部分~(1)

アドリブ小説とは、僕は常に何とか一本のお話しを作ろうと努力しますが、時折挟まれるハル先輩のお題?に従って、内容を作っていかなければならないという遊びです。極端な話、「この回で終わらせて」と言われれば僕は終わらせる話を書かなければなりません。

よって先の展開は考えず、書く日に即興で話を作っていきます。

という趣旨です。

が、パイナップルの話もそろそろ終わり時かなと思っているので、畳みにかかっているところです。

これまで無責任に書き広げたものを畳もうとするともはやアドリブ感は維持できず、散らかし放題の部屋を見てどうすんだコレって思ってる心境で、やたら難しく感じて更新を後回しにしがちです笑。

お話しは終わらせるのが一番難しいって本当に実感します。

始めることに対して、終わらせることが難しすぎる。

ただ、これ終わらせたらレベル一個上がる気がする…

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夜の体育館で声を潜めて待つ

パインが入った食缶は体育館の演台の下に隠した。

隠したという程の隠し場所ではないし、何ならヤブサカが始めにパイナップルを発見したときのように、演台の上に堂々と聳え立たせておいても良かったのだけど、ヤブサカとノウキンの二人に宝探しを楽しんでもらうため、形だけでも隠すことにした。

体育館は真っ暗だった。

大西と文美と連と圭太がパイナップルを体育館に運び、暗闇の中食缶を監視することにした。

多目的教室では、ユウトとミサキが買い物から帰ってきたらみんなで体育館に移動するということで話しが進んだ。

一応ヤブサカやノウキンや校長にバレないように、少人数ずつ体育館に集合。その間別の班は校内を歩き回り、気配からみんなが体育館に集合しているということを悟られないように気を付ける。

ちなみに大西たちも、食缶を持ってしばらく校内を歩いた。取っ手をわざとカンカンと鳴らして、教師たちを惑わせる工夫をした。

しかし全員が分かっていた。

そんな工夫はすべて無駄である。少なくともヤブサカのはこの地の文が読めているはずだし、宿直室?から食缶の取っ手の音を聞き取って隠し場所を推測するなんてできないのだから。

そうとは分かっていても、彼らは教師たちのためにレクをした。少なくともヤブサカはノウキンと付き合って、本当は体育館の演台の下にパイナップルがあることが分かっているのに、しばらく暗い校内を歩き回るだろう。

ここでもない、あそこでもないとはしゃぎながら、大人げなく校内を歩き回るに違いない。

 ◊

生徒たちは全員、真っ暗な体育館に集合する。

生徒たちはそれぞれ仲間を待つ。

フルーツポンチの用意をするユウトとミサキを待ち、家庭科室から包丁とまな板を持ってくる愛と静香を待つ。

何も家庭科室じゃなきゃ包丁を使っちゃいけないというわけでもないんじゃないと誰かが言って、そうだね、どこでも良いよねと誰かが言った。

体育館の演台の上でみんなでパイナップルを切ろうと誰かが言った。

下には、模造紙か何かを敷こう。資材室?とかいうあの奥の部屋から誰かが取ってきて。あそこならカギはかかってないから。

大西たちは体育館の舞台の上に並んで座って仲間を待つ。

最初真っ暗だと思っていた体育館の中は、大した時間が経たないうちに目が慣れて、隅々まで見えるようになった。

街灯の明かりが微かに入り込んでいる。体育館の底までは照らさない白い明かりが、壁の骨組みを照らし、骨組みを目で追えばバスケットゴールがよく見えるようになる。さらに目を凝らせば、床に張り巡らされたラインも色とりどりに見えるようになる。

そんなスケルトンな景色が浮き出た体育館の中で、生徒たちは舞台から足を投げ出し横に並んで仲間を待つ。

最後に愛と静香が体育館に入って来て全員が横に並ぶと、何人かの生徒がひそひそと話し、クスクスと笑い、次第に暗闇に溶け込むように全員が自然と声を潜める。

静まりかえった夜の体育館の中で声を潜める子どもたちは、仲間との不思議な一体感に満足しながら、今日はきっと思い出に残ると思った。

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