架空の誰かを救わねばならない

人が多いグラバー園で、人目を避けるようにして座りながら考えたこと。

グラバー園と人目を避けた写真集【長崎に行ってきたよ⑤】では、ひとけのないところに座ってゆったりしてたとき色々考えたことがあって…でも長くなるし次回に、なんて終わり方をしたのですが、別に「引き」を作ったわけではありません。

誰が気になるんだい。

ただ長崎に行く前に見た夢を、そこで座ってボーっとそれを思い出したというだけの話です。

ああ、あれは「長崎に行くぞ」という気負いみたいなものが見せたものだったんだと気づいてちょっと個人的に面白かったってだけの話。

どこなのか分からないけどやたら坂が多い街で、小さい頃に転校していったきり会っていないかつての同級生(という設定の人)に偶然出くわすという夢でした。

あの夢で見た街は長崎だったのかと思うと、なんだかグラバー園の中のベンチに腰かけていることがやたらと意味のあることのように感じたりするものです。

当然そんなもんはなくて、さっきも言ったけどただ「長崎に行くという気負い」があたまの中で適当に整理され、夢となっただけでした。

でもその夢は僕が座っていた場所にすごくマッチしていたようで、一度忘れた夢だったのに、スルスルと思い出されていきました。

せっかくなのでその話を書いておこう。夢の話なんてつまらなすぎるかもしれないけど、ちょっと僕にとっては考えるべき夢だった気がするのでメモです。

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坂の途中で、かつての同級生に会った話

僕はその街で、斜面に並び立つ小奇麗な住宅街を散策しています。虹が発生している場所(虹の根元)があって、その中に入れたのを覚えている。初めて虹の中に入ったとか僕言ってたけど、今考えればなんでそんなメルヘンチックだったのか分からない。ちなみに虹の中は水中に似ていた。

虹の根元を経た僕は、坂を下り始める。

坂の裾付近に小さいけど新しいアパートがあって、一階のドアの横にはオシャレでコンパクトな自転車が置いてありました。青みがかった灰色(なんていうんだっけ)の自転車です。

自転車はそこの住人のライフスタイルを物語っているようで、無性に羨ましく感じる。

さらに下ると、さっき見たのと同じような自転車を押した人がこちらに上ってきます。髪が少し長い男性でした。

その人がかつての同級生であることに僕はすぐに気付き、相手もすぐに僕を認識します。一通り懐かしんだあと、彼はいつの間にか僕と同じ方向に向き直り、僕についてくる。どこかに行く途中じゃなかったのかな?とは思いつつも、無頓着なフリをする。

始まりの構図としては彼が僕について来たのだけど、すぐに歩きなれない土地を彼が案内してくれる形に落ち着く。彼は狭い路地や車は通れないトンネルをなんてことない顔で進みます。

人をすれ違うときはずいぶん前から自転車を止めながら脇に寄り、僕にも脇に寄るよいに合図して道を譲る。歩きなれた感じやさっき見たのとそっくりな自転車のカッコよさで僕は嬉しくなる。そして不思議な気分になる。

小さい頃は同じ土地に住んでいたのに、今では見慣れないオシャレな土地をこなれた感じであるいている友人が誇らしく、別人であるかのように見えるのに確かに知っている人だという感覚を気持ち悪く思う。

友人の自宅兼職場

仕事は何をしているのかときくと、自営業だと答えた。普通の仕事じゃなさそうだし、聞いても分からなそうだったし、あまり深くは聞かなかった。

どこに向かっているのかを聞くと、職場兼自宅に向かうと言います。

職場兼自宅は、思っていた通りオシャレな外観、というかちょっと変わった外観の木造建築だった。ドアは壁と同じ素材で、緑色のかわいい取っ手が付いてる。それしか付いてないと言うべきかもしれません。美容室ならこういう家がありそうだと思った。

中に入ると広いコンクリの土間があって、一段上ったところからは濃い目の木材を敷き詰めたフローリングになってる。やっぱり美容室のようなお店っぽいけど、それらしい椅子や鏡はない。

ドアから向かって左側の一角にはなぜかやたら天井が低いところがあって、その狭いところにぴったり収まるテーブルと、その上にはデスクトップ型のパソコンが置いてある。これを使って仕事をしてるのかなと思ったけれど、それだけでは想像ができない。

そこから振り返ると、つまりドアから向かって右側の、部屋の奥側にはなんと螺旋階段が付いていて、友人は着替えてくるとか言ってそこを上って行ってしまう。

そこに泣き顔の女性が入ってくる。顔が小さくて髪はショートカットの綺麗な人で、彼女かなと思ったけれど、ここは自宅兼職場なのだと思えば、僕は何となくその女性が、友人のお客さんなんだと感じる。そして次に、面倒臭そうだと感じる。

友人はきっとこの女性に悩まされているのだろう。付きまとわれていて、でも仕事だから無下にもできない。というか多分、友人はこういう女性を救う仕事をしているのだろう。

僕は友人を救うためにその女性を救いたくなる。泣いてる女性が可哀想だと思ったのも事実だし、その女性自身が魅力的であったのもあるけど、何より友人が煩わしく思っていそうなその女性が抱える何かは、そのまま友人が抱えている問題なのだと思うと、僕にはその女性こそが「問題」なのだと感じて仕方がなかった。

オサレ生活

こんなに良い街で、オシャレな職場(兼自宅)で生活するには、こういう女性と関わり合いにならなければならないのだろうかと僕は思う。

着替えにいくと言って螺旋階段を上っていった友人はまだ帰ってこず、もしかしたら女性の来訪に気付いて出てくるのを躊躇してるのかもしれない。

泣きながら人の家に入ってくる、面倒そうだけど美しい女性に付きまとわれる生活も「オシャレ」の一部なんだろうか。面倒だと思う一方で、友人はそんな生活と仕事に満足してるのかもしれない。だんだんそうに違いないと思えてくる。

そうかこの女性も、なんかで傷ついたときに駆けこめるオシャレな男性がやってるオシャレなお店があるというオシャレな生活を送ってるだけなんだ。

きっと泣き顔ほど大したことは起こっていなくて、傷つくために傷つくような生活を送っては、友人のもとに、通貨のような涙をこぼしながら通っているのだ。

馬鹿々々しいと思ったら目が覚めた。

お詫びの印に夢十夜

目が覚めてから、でもあいつ(もう顔も思い出せない)は本当に自分の生活に、もしくはあの女性に嫌気が差していたのかもしれないなと思いました。あの女性も本当に傷ついていたのかもしれないし。

馬鹿々々しいとか思わないでもうちょっと親身になってあげたらよかったかなーとか今さらになって思います。まあでも僕の夢だから、その気になれば彼らを救うこともできるんだよな、文章ってすごいなあ架空の誰かを救うことさえできるのだから、としみじみしたものです。

そのあと長崎の街を歩いていても、本当にこの街のどこかに僕が夢で見た場所があるんじゃないかとも思いました。ロマンがありますねえ。

なんとなくリアルな夢ってあると思うけど僕にとってはこれがそれで、日ごろから考えていたことが凝縮されたような夢だったような気もします。

忘れないようにしたいと思える夢の一つ。

にしても夢の話なんて聞いてもつまらなかっただろうから、おわびと言ってはなんだけど青空文庫の『夢十夜』へのリンクを貼っておきます。

架空の誰かを救わねばならない(完)

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