右と左をつなぐ歌

前回の 左脳だけでは行き詰まる。男だけでは息詰まる

という記事に関連して、右脳と左脳バランスよく使うと言えば、歌を聴いたりするのはどうだろうという話題を今日は記事にしようと思います。

僕はあまり音楽を聴かない方なんだけど、ぜんぜんノーミュージックノーライフではないんだけど、それでも感動して何度も聴いている好きな歌というものがあります。

逆に言えばそれほど音楽に興味のない僕を感動させるんだから大したもんだ的な見方もできるかもしれません。随分エラそうだけども笑

音楽は言うまでもなく芸術で、感動を生むものであって、脳みその両方を激しく発火させる力があると思います。

また、素晴らしい芸術を生む「ひらめき」の力は、両方の脳みそがなければ決して起こらないことだとも思いますから、僕たちは素晴らしい芸術に触れて感動することで「ひらめき」の疑似体験ができる。

歌を聞くだけで創造的になると言っても良いかも。

そんな、「右と左をつなぐ歌」を僕の好みで紹介していこうと思うのですが、ここでは、主に歌詞から「左脳寄り」の思考、「右脳寄り」の思考という特徴に注目して、左から右へ段々と寄って行くよう、順番に紹介して行こうと思います。

並べてみると、頭の使う領域や癖によってこんなに差が出るの?というのがお分かりになって面白いと思います。

スポンサーリンク
スポンサードリンク

ドナーソング

最初は『ドナーソング』 大柴広己さん(もじゃさん)のオリジナル版。

ボーカロイドのとか他の歌い手さんによるカバーとか色々あって、僕は最初「ニコ動」で他の歌い手さんが歌ってるの聴いて知った歌です。

ドナーカードがモチーフになっていて、歌詞内容は難解ではありません。

しかしこの歌、解釈が分かれるものでもあり、誰が誰を思って歌っているのか、背景にどんなストーリーがあったのか、「どっちでもいい」の意味はなんなのかについては色々な意見があるようです。

言葉の連なりとして意味が分からないところはない。

論理的、というのは違うかもしれませんが、文としておかしなところはない、比較的左脳的な要素に訴える歌ではないでしょうか。

だけど人は言葉から連想をしてしまいます。

単純な単語の一つ一つ、その意味を持った連なりが、なぜか一人一人の頭の中では違ったストーリーとなって再構築される。

このとき、僕たちの脳みそは左と右を行ったり来たりしています。

キラキラ

aikoさんの『キラキラ』です。

歌詞内容はこれも難解ではありません。

何を言ってるのかはよく分かる。 だけど途中から、そんな大袈裟な…(笑)という世界になっていきます。

「遠い遠い見たこともない、知らない街に行ったとしてもあたしはこうしてずっとここを離れずにいるよ」

うん。

「羽が生えたことも、深爪したことも、シルバーリングが黒くなったこと帰ってきたら話すね」

羽?

「その前にこの世がなくなっちゃてたら、風になってでもあなたを待ってる」

「この世がなくなる」という発想になぜ至るのかは、論理的には分かりません。

だけど、このあと「そうやって悲しい日を越えてきた」と続きます。

人の思考は、論理的なばっかりではありません。

悲しいとか寂しいとか言う漠然とした感情一つで、超遠いところの景色を思い浮かべたり、世界が崩壊寸前みたいな気持ちになることもある。

脳にはそれくらいの飛躍が許されているし、人はその飛躍を理屈ではなく感情で理解する力がある。

このとき、脳内では手元の錆びついたシルバーリングから崩壊後の荒涼とした世界で一人ぼっちで佇んでいるところまでをほぼ同時に想像することができる。羽も生えてるかも。

現実的にはありえない景色を見て、それに納得することができる。

もしかしたら一部の男性にとってaikoさんの歌は女性的過ぎるのかもしれないなとこの歌を聴く度に思うし、高校時代クラスの女の子が「aikoは女心が分かってる!」と言っていたのを思い出します。

透明人間

東京事変の『透明人間』です。

椎名林檎さんは総合的に芸術そのものだと思う。

「僕は透明人間さ、きっと透けてしまう」 から入り、まさに「同じ人(分かる人)には分かる」という領域です。

これ以降はほとんど文章としては理解できない。

「噂が走る通りは息を吸い込め、止めたままで渡って行ける」 「秘密も楽しいけれど、すぐ野ざらしになるよ、それを笑わないで」

よく考えると分からない歌詞と、スッと正気に返ったような歌詞が入り乱れます。

「好きな人やものなら、ありすぎるほどあるんだ、鮮やかな色々」

これはよく分かる歌詞だけど前の歌詞とどう繋がるのかは分からない。

『キラキラ』よりも縦横無尽な言葉とイメージの羅列だけど、全体は調和しているしメッセージは映像として伝わります。

動画のコメント欄とかに書いてあることだけど、歌から受ける美しさとは別に、「イジメられっ子がテーマの歌らしい」というような解釈(本当の裏話的なものなのかもしれないけど)で以ってより理解しようとする人もいます。

あ、それなら繋がるところがある!とか、そういうときの気持ちなのか!と思えれば、より理解した気になれる。そのとき人は創造的です。

キラーチューン

椎名林檎さんは「キラーチューン」もすごい好き。

より何言ってるか分かんないけど分かる。

解釈が出来るし、メッセージが伝わるし、僕は音楽には疎いけれど、タイトルの通り殺人的な魅力に溢れた楽曲だと思います。

歌詞の話しで言えば、「ご覧ほらねわざと逢えたんだ」なんて文章としては直されるヤツでしょう。

逢うという言葉そのものが運命的、宿命的な意味(避けられない、避けられなかった)を持っているのに、そこに「わざと」つまり「故意に」という言葉をつなげると論理的には捻じれてしまいます。

だけどそういう不自然な捻りを加えることで宿命的な色合いがさらに強固になり、さらには運命じゃなかったとしても絶対に会いに行ってたよというような意思も加わります。

すっごい野暮なことを書いてる気がする。 でも続ける。

季節を使い捨て生きてこう」 「夜も秋も盗めないよ」 すごく意味が分かりませんよね。

日常会話では絶対に使われない文です。

だけどやっぱり、映像として、思想として伝わるものがある。

時間とか儚さとか特別な愛情とかいう概念的で巨大な空間を見せられる。

そして「貴方は私の一生物」と締めて、意味と概念が収斂する。

一単語一単語に対する感受性が鋭く、言葉で以って自在に振り回されてしまうから、この曲は刺激的で人を骨抜きにする力があると思います。

このあたりからかなりイメージ先行(右脳優先)の歌ではないでしょうか。

君の街まで

アジカンの『君の街まで』。

「君の街まで飛ぶための歌」「君の街まで飛べりゃいいのにな」以外の部分はほとんど分かりません。

ほぼ全編映像的で、抽象的な歌詞だと思います。

具体を全部抽象で覆われてるみたいな。

これまでの歌は、抽象的だったり脳内イメージはあちこちに吹っ飛んだりするんだけど、何だかんだ実写感があった。

アジカンの歌は、僕の場合はもう実写では追いつけず、CGとかアニメーションっぽいイメージの塊が頭に浮かびます。

より現実感がなく、必要以上に綺麗で、知らない世界に飛び込んだような気持ちにさせられる。

だけど「君の街まで飛べりゃいいのにな」と言われるとホッとする。

「隣にいる冴えない君もいつかは 誰かを救う明日の羽になるかな」 と君について続けて話されるから、こっちも「君の街まで」行きたくなってくる。

隣にいるはずなんだけど。

そんな街とかそんな「君」がいるならの話しだけど。

頭の中がイメージで振り回されます。

人工衛星

相対性理論の『人工衛星』

これは僕ほんとに右脳バリバリだと思う。 大好きな歌です。

「二人はまだ寄り添ってるの」以外の歌詞は正直単語だけから受け取る意味とか印象すらはっきりしない。

それが組み合わさってる訳ですから、トータルで訳が分かりません。

でも何だか幾何学の世界に飛び込んだような、均整のとれた質感みたいなものは受け取ることができます。

アジカンの歌が実写ではなくCGとかアニメーションみたいなレベルの抽象度だとしたら、この歌は「抽象」をそのまま芸術にしたみたいな感じでしょうか。

歌詞の中に「人の気配」みたいなものはところどころに感じるのですが、この人って本当に生きてるの?高度な人工知能なんじゃないの?目に映るものが全然違うよ、という不安さがあります。

多分やくしまるえつこさんの声の質にも影響されてるのだと思うけど、この楽曲全部通してボーカロイドよりよっぽどロボロボしてる、というか未来感がある。

ジャケットにも引きずられてると思うけど。

なのに、「二人はまだ寄り添ってるの」で急に人の姿が鮮明に描かれて、逆算的に生きた人から見た機械仕掛けの世界が見えてくる。

ストーリーもクソもなく、ただただ映像的なだけの言葉の連なりなんだけど、これは本当に左脳だけの処理では「意味不明」で終わり、右脳とコネクトできてやっと美しくなるものだと思います。

右脳と左脳のコミュニケーション

 ご紹介した音楽は、あまり音楽を聴かない僕が僕なりに選んだ好きな音楽の一例です。

 なんとなく好きだなあーという感情のレベル(右脳)から、どうして好きなんだ?どんな仕組みがあるんだ?(左脳)という理解への願望。

そしてやっと理解したものと照らし合わせれば、それを裏切る飛躍、説明できない領域がまた生まれる。

こんな風に右、左、右、左と使って一歩一歩進んでいくことで、世界は理解に溢れ、好ましいもので溢れ、美しくなっていくのでしょう。ああ学問は芸術に繋がるなあ。

勉強する意味を考えて何になる

右と左をつなぐ歌(完)

スポンサーリンク
スポンサードリンク