祝!羽川翼『月物語』でネコ科コンプリート/交差する世界観と天才の会話

好きな作品と雑談

『3月のライオン』と『物語』シリーズのコラボ企画が展開されました。

『3月のライオン』第12巻の特装版に羽海野チカ装画、西尾維新書き下ろしによる短編小説『月物語 第交話 つばさライオン』が付いてます。

3月のライオンは好きだけど物語シリーズなんて知らない、物語シリーズはファンだけど3月のライオンは読んだことないって人にとっては「???」って感じだろうけど、どちらも好きだよって人には何とも贅沢なコラボ企画ですね(当たり前のこと言った)。

僕は『3月のライオン』も『物語』シリーズも好きなのでうれしかったです。

しかも 羽川翼の話をしよう/「完全に正しい」という異常な個性について という記事を書くくらい、物語シリーズの中では羽川さんが好きなので、「第交話 つばさライオン」というタイトルを見たときにはよりうれしかったです。

考察も何もないしわざわざブログで書くほどのことはないけど、うれしかったので素直に感想を書いておこうと思います。

スポンサーリンク

ライオンでネコ科コンプリート

最初に思ったのは、「お。羽川さんネコ科コンプリートだ」でした。

物語シリーズはすべて『○物語』という「テーマ(モチーフ?)+物語」というタイトルで統一されており、各話では「ヒロインの名前+ヒロインが関わることになった怪異」というタイトル付けになっています。第○話の○の部分にはやはりテーマとなる漢字が入ることもあります。

だから今回のコラボ小説は『月物語 第交話 つばさライオン』なのですが、羽川さんは『化物語』の第5話で「つばさキャット」、『猫物語(白)』で「つばさタイガー」を経ていますので、今回の「つばさライオン」で一通りネコ科に関わったことになります。

いやチーターとかピューマとかいるじゃんとか言う人もいるかもしれないけど王道のライオンに関わって、綺麗に決まったなという感じがするってことなのでいいのです。

スポンサーリンク

羽川さんにも知らないことあったんだという新鮮さ

「お前は何でも知ってるな」

「何でもは知らないわよ、知ってることだけ」

の掛け合いが恒例になるほどなんでもよく知っている羽川さんですが、つばさライオンにおいて、羽川さんは将棋にはあまり詳しくない設定でした。詳しくないというか「からっきし」だと言います。

将棋に関しては門外漢の羽川さんが、奇妙な棋譜に隠された謎(メッセージ)が解けず、将棋会館の前で専門家の意見を仰ごうとしていたところへ、『3月のライオン』の主人公である桐山君が参上し、一緒に謎を解くというお話し。

羽川さんが将棋に詳しかったら自分で解けちゃう可能性があってお話しにならないのですが、なんでもよく知っている羽川さんが将棋についてあまり詳しくないというのは意外です。

本文中に「この局面が変だと分かる時点で、からっきしというのは謙遜なのだろうけれど」とあるように、知恵を仰ぐためのポーズというか猫かぶりなんだろうけど、イメージとしては将棋とかチェスとか強そうだったからそういう意味でもちょっと意外な感じ。

『猫物語(白)』で既に天才の名は返上している羽川さんなのでおかしくないのですが、てっきり羽川さんと桐山君が将棋で勝負するのかなと思っていたのでへえーって思ったとこでした。

世界観の交わりが楽しめる

考えてみれば将棋で勝負するわけありませんよね。

桐山君は若くしてプロ棋士になった神童と呼ばれることもある人物で、かたや羽川さんは元々設定が非現実的なライトノベル上の「天才」ですから、どっちが勝っても不自然です。

次元というか、世界観が違うのですから。

つばさライオンは、単純にキャラクター同士のコラボという訳ではなく、「将棋」と「言葉遊び」というお互いの作品の専門分野のコラボ、世界観の交わり、視点の応酬というようなものが楽しめる作品でした。

一つの局面をお互いの立場から見てコミュニケーションを取るという将棋における視覚的な構図とも重なるお話しで、西尾維新さすがだなーって思いました。

そして装画の羽川さんも羽海野チカ作品っぽい柔らかい可愛さが加えられてさすが。

普段、どちらかというとコラボ企画に否定的な僕なのですが、どっちも興味あるものだとコラボって面白いなーって感じるんだなって思いました。

本題 交差する、天才同士の会話

コラボというか。

『月物語』の奥付にも載ってるんだけど、『本題』という対談集があります。

対談とかは好きなんだよな。

西尾維新対談集 本題 (講談社文庫)

西尾維新と各分野の一線を走るクリエイターたちの会話が収録された本です。対談相手が豪華!

×小林賢太郎

×荒川弘

×羽海野チカ

×辻村深月

×堀江敏幸

辻村深月さんと堀江敏幸さんの作品にはまだ触れたことはないのですが、ラーメンズも『鋼の錬金術師』も好きな僕にはやはり豪華絢爛な対談集。

上から三人の作品に関してはなんやかんやこのブログでも書くくらい好きなので、『本題』の存在知ったときはなんか僕ピンポイントでターゲットにされてるんじゃないかって妄想さえしましたね。

ラーメンズの傑作コント『採集』から怖さを学ぶ

 

優越感なしでは人は幸せになれないのか。/『鋼の錬金術師』が刺さる、何度も

 

羽海野チカ作品のおじいちゃん。日常の細部と平和なニッポン

 

あと、本題読んで知ったんだけど、西尾維新って『鋼の錬金術師』のキャラの中ではキンブリーさんが好きらしいです。

僕も好きキンブリーさん。ついさん付けしちゃうキャラクターの一人。

【鋼の錬金術師】キンブリーさんの中立性/中立キャラが物語を動かす

『本題』で対談するのは、それぞれ多少気軽に天才と呼んでも差し支えない、現実に存在するカジュアル天才クリエイター同士だと思うから、彼らの会話はそれなりに刺激的で、なんか変に創作意欲が湧いてきておすすめです。

 

祝!羽川翼『月物語』でネコ科コンプリート/交差する世界観と天才の会話(完)

コメント

タイトルとURLをコピーしました