0.01%の貴重な人間になりたい男の不安日記

発想と行動を記録する

0.01%の人間になるのは容易い。

つまり珍しい人間になるのはけっこう簡単で、単純にいろいろなことに手を出せばよいのだと思う。

例えば、僕はどうでしょう。

フリーラインスのライターで、ブログ書いてて、小説書いて、カメラにも手を出し始めて、ドローンも持っていて、かつそれらをまちづくりにつなげようと考えている。

もっと細かく僕の現状を言えば、今は実家の目の前の空き家に妻と住んでいて、平日は実家で祖母と晩御飯を食べる。

近くに母が管理してるコミュニティスペースがあって、そこでオリジナルの図書館づくりを目論んでいる。

その母とは何となく企業もして、僕が代表になっている。近く、今住んでいる家をゲストハウスみたいな、合宿所みたいな使い方ができればと思っている。文芸を好む方と創作合宿みたいなことができたるようになるのが理想。

属性で言えば僕は田舎に住みまちづくりを考える在宅ワーカーの旦那であり、重度のおばあちゃん子であり、小さい会社の代表である。

一つひとつは平凡だけど、こうやって揃えてみるとなかなか珍しい組み合わせになっているのかもしれない。数だけで言えば、こういう組み合わせを持っている人間は0.01%とかになるのかもしれない。

でもそれだけ。肩書きを増やしたりやるやる言うことは簡単で、それらが有機的にというかきちんと機能していない限りカードとして有効ではありません。

出鱈目にカードを並べても、役になっていなきゃ意味がない、みたいなこと。

そもそも僕は向上心が強い方ではないし、ここに並べ立てたステータスというか属性から受け取れるほど精力的な人間ではありません。

一時期流行った「自分の強みを知る」みたいなものをやるまでもなく、僕に上昇志向はなく、競争心も乏しく、極度に内向的で、人見知りで、社会にあまり適合しないタイプです。

でもここ最近の僕はただ珍しいだけじゃなくて、「貴重な人間にならなければ」という意識がどこかにあったのだと思います。

つまり社会的に価値のある人間。

端的に言えばそれは、お金を産む力がある人間。

そういう思考は、たぶん結婚を決めてからより強くなっていきました。自分ひとり満足する暮らしじゃなくて、僕と結婚してくれた人と、まだわからないけど子どもと一緒に暮らし続けるためには、お金を稼がなければならない。

今は全然お金稼げないし、結婚まで長らく待たせてしまったし、うだつが上がらず、自慢できる彼氏ではなかった分、妻が人に羨ましがられるような存在になりたいと思いました。

成功しなきゃ!って思いました。

そういう道を考えれば、いろいろなことに手を出したくなる。

あれもしなきゃ、これもできるようにならなきゃって思う。

現状までで僕に付属してるいろいろな属性やステータスは「流れでそうなった」という感じで、あまり色々な要素を持っている人間だと自分を見なしていなかったのですが、「お金を稼がなければ」という意識を持つようになった僕はそれらを武器と捉えているようでした。

お、けっこう僕いろいろなもの揃ってるじゃん、これを武器にしないとダメじゃん。

ところが、気付いたのは結局どれも中途半端なままここまで来てしまったということです。

もちろんこれからコツコツと高めていけばよい。上達していけばよいし勉強すればよい。

わりとコツコツやることは得意なので、そこにあまり気負いはありません。ただやれば良いだけだと思う。

だけど「お金を稼がなきゃ」という観念が強くなった最近の僕は、効率を求めたり、一つのことをしていても別のことが気になってしまったり、僕が持っていないスキルを持っている人に嫉妬してしまったりという不安定な状態にありました。

その不安定さも自覚できないまま、ただ「漠然とした大きな不安」を抱えたまま、身体はやたら元気で、不安を塗りつぶすようにいろいろなことをしました。

ところがある日の朝、疲れて全然起きられなくて、そのときふと思いました。

ああ、僕は不安なんだ。本当に不安で、口に出す以上に不安で、何かに飲まれそうなのだ。

不安の種はなんだろうと辿っていくと、「やりかけ」のことがたくさんあることに気付きました。

装飾をかえて色も塗り替えると言ってはずして持って行ったベッドの頭の部分はまだ物置にあるし、他にも部屋のDIYも途中だ、庭の木の剪定も昨日ちょっとやってやりかけ、ある人との約束はここのところ忘れていたし、会いたい人、言わなきゃいけないこと、あったあった。

このブログ上だけでも、やると言ってやってないことがあります。誰も気づかないだろうと思って高をくくっていたのだと思いますが、アドリブ的に書くとルール付けした小説が書きあがっていないし、この夏には怖い話を書き上げる予定だったけどまだ途中。

そうだ他にも書いてない小説いっぱいあるじゃないか。noteでバリバリ更新しようと思ってたのに。あと6つくらい書いてない短編がある。二つ書きたい長編がある。これが一番したいことのはずだったのに、現実を前にして簡単に引出の奥にしまってしまった。

もちろん書きかけの小説があるのなら、読みかけの小説もある。

結婚ともなりゃそんなのは当然だよ、やりたいことやれるのは独身のうちだよと思う方もいるかもしれないしその真偽のほどはわからないけれど、そういうやり残したものが頭の奥でやいのやいの言って僕を不安がらせていることだけは間違いありません。

やるって言ったじゃん、忘れてないよね、いつ終わるの?やりたくないの?

これは完全に僕の心の声であるけれど、うるさい今それより大事なことあるんだよって無理やり押さえつけてた気がする。この、現実にマッチしようとするあまり内側の自分を押さえつけている罪悪感が不安の正体だったのではないか。

思えば、僕は世間的なレベルで「成功しなきゃ!」とは思うものの、「成功したい!」とは思ったことがないのです。

そんなことに気付いて僕は、「ああ仮に上手に生きられたとしても、世間的に成功しているような道を歩けたとしても、この不安にはずっと付き纏われるんだなあ」と思いました。

そしてこの不安が消える頃に、「僕の夢とか、純粋な嗜好とか、そういうものもなくなってしまうのかな」と。

珍しい人間になるのは簡単です。

もしかしたら時期とか場所とかを選びながら戦略的に生きれば貴重な人間になることも可能かもしれない。

だけど、何より重要なのは「自分に納得できるかどうか」だと思うのです。

チープな物言いだけど、本当にそうだと思う。

成功しているかどうかではなく、納得できる人生かどうか。

そして成功というのは、「自分との約束を守った先にあるもの」なのではないか。

僕はそれができてない現状に、僕が築き上げたい形の成功を損ねてしまっている今に、不安を抱いているのではないか。

僕の内なる自分は、自分が歩く完全オリジナルの純粋な成功を知っていて、それを後回しにしてる僕を攻めたてているのではないか。

でももしかしたら、お金を得ればここに書いたような話をまるっと飲み込むほどの納得感があるのかもしれません。

ここで書いてるようなことはただの甘えで戯言で詭弁で愚かしいことなのかもしれない。成功者に聞けば、お前のそういう思考が成功を阻んでいるんだ、そういう言い訳体質は典型的な不成功人間の特徴だとか言われるのかもしれない。

最悪や。考えただけでしんどい。

たしかに、現実から目を逸らす詭弁のように聞こえるかもしれないけれど、僕は現実に疲れて非現実を見ようとしているのではなく、自分の現実はこちらなのだと精神に言われているのだと思います。

だって、たとえ傍から見てくだらなそうであっても、こんなに僕を苛むのだから、現実に違いないでしょう。

何を考えていたって現実です。

どんな夢を見たって、こころで何を求めていたって、生きている限りすべて現実です。

だから僕は貴重な成功者として認められることよりも、純粋な成功者と自分が感じられるようになるべく、今からこの記事投稿ページを閉じて、やりかけのことをコツコツやろうと思います。

 

0.01%の貴重な人間になりたい男の不安日記(完)

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