なぜ田舎から若者がいなくなるのか。

いなかを観察する

 

 

若者が田舎から都会に流れていくことは本当に自然なことなのかどうか、考えてみます。

若者が田舎を捨てる理由はなんでしょう。

(2019年5月追記)

身も蓋もないけどこれが真実だろう、と思う田舎から若者がいなくなる理由に気付いたので記事にしました。以下が最新の考えです。

 

田舎から若者が出て行くのは田舎に若者がいないからという身も蓋もない真実

本記事の本文も読んでいただけると幸いです↓

Contents

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別に理由はないだろう正直

田舎から若者が消えてしまうのは、例えば仕事がないからとか、田舎特有の閉塞感に耐えられないからとか、色々言われていると思います。

しかし、よく考えてみれば田舎から都会へ飛び出す高校卒業時期において、田舎には仕事がないからという理由で都会へ行くほど労働意欲に燃えている方は多くないのではないでしょうか。

田舎特有の閉塞感。これは確かにあると思いますし、閉塞感と言うだけでは言い尽くせない、独特の空気がある。

しかしこれも、言葉にするのは難しい空気感でありますから、こじつけと言われればこじつけな気もします。

だから、若者が田舎から出て行くのは、単純にそういうことになっているからだと思います。

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田舎から都会へ進むのが普通のルートだから

特に田舎が嫌だとか、ここはこうだから出て行くのだではなく、小学生が中学生になって普通に小学校から中学校に通うようになるように、高校を卒業したら都会に行くのが普通だからみんな高校を最後に田舎を離れ、都会に行くのです。

「自分の人生」とは言いますが、実際に自分の人生で自分が決めることって限られているような気がします。

誕生も進学も就職も退職も死ですらも、「そういうことになっている」という要素の連続で、みんな意識的にか無意識にか、足並みを揃えて一番メジャーな道を選ぶようになっている。

そして、少なくとも一昔前から現在までくらいの日本では、極力自分の人生について考えなかったぶんだけ順調な人生が送れるように出来ていたのではないか。

実際、僕の場合もそうだったけど、大学に行くのは特にやることもないし、みんな行くみたいだし、まあこの先のことはゆっくり考えようかなっていう猶予期間を得るための選択でした。

とりあえず、大学くらい出ておかないと就職先にも困るって言うし、大学時代が一番自由で楽しいって言うしって。

 

険しい普通の道

極力自分の人生について考えなかったぶんだけ順調な人生が送れるように出来ていた。

というのは、つまり、周りと足並みを揃え、自然な流れで人生を設計する方が、無難だったということでしょう。

自然の流れってどんなだろう。僕の周辺のことを思い出して書くとすれば、まず地元の中学くらいまで出て、早ければ高校から都会へ。

そうでなければ高校も地元を経て、大学や専門学校への進学を機に都会へ。

そして4年なり2年なり学業を修め、かねてから希望していた(という設定の)職業に着き、3年くらいして仕事に慣れれば結婚、翌年か次の年には子供を生み、家庭を築き、それを原動力にして一段階出世する。

転勤や海外出張を経てもう一段階成長し、部長なり人によっては専務なり偉い役職に付き、そのまま勤め上げ、定年を迎える。

これが無難で順調な人生であり、平凡ながら幸せな、古き良き日本の生き方のように思います。

言うまでもなく、今となっては険しい道ですよね。

過去の黄金ルート、前時代に流行った人生のパッケージ商品という感じで、今では買えないことはないけれど険しい道の上に実入りが少ないルートになっている。

過去の黄金ルートの中に、田舎に帰ってくるというルートがない。

田舎に帰る、田舎生活を選ぶというのは、古い価値観を持っている方にしてみればリタイア・脱落、都落ちに見えるかもしれませんし、究極の寄り道なのではないでしょうか。

平凡ながら幸せな人生を送るための道は、長い時間をかけて作られたもっとも起伏の乏しいコースであり、最も険しいコースです。

今や人と違うことこそが究極の生存戦略と言って言い過ぎじゃないと思いますからこれははっきり古い価値観と言えると思います。

でもまだ我々の心の根底にはこの無難さを守る気持ちがあるのではないでしょうか。

だって娘が大学行かないとか言い出したら、え、まじで?そ、それでどうすんの?ってなりますよね少なからず。

そういう普通こうだよねって根強いルートがあるからこそ、若者は当たり前に田舎を出て、都会に行くのだと思います。

田舎の方から田舎ルートを閉ざしてる

さて、では改めて、若者が都会へ流れていくことは自然なことなのかについて考えてみます。

それは自然なことに違いありませんが、必ずしも確固とした意思がある訳ではなく、反対に確固とした意思がないからこそ、大抵の若者は都会に行くことになっているという考察が一点。

そして都会から戻ってくるルートというのは、実はあまり整備されていないからこそ、なかなか田舎に若い人が流れてこないのだということがここでしたい考察の二点目。

この二点目の時点でようやく「田舎には仕事がないから」なんて理由が上がってくる。

にわとり卵の話になりますが、若者がたくさんいれば仕事は自然にできます。仕事がないから若者がいないのではなくて、若者がいないから新しい仕事が必要なく、その結果が今なのです。

さらに、「平凡ながら幸せな人生」についてガチガチに凝り固まった価値観を持っているのも、残念ながら田舎のほうなのではないかという考察もあります。

田舎への自然なルート作りをもっと進めるべき

若者が都会に流れなかなか帰ってこないのは、国民全体で、もしくはあなたの町で「そういうもんだよね」って決めつけたからではないでしょうか。

そして田舎へのルートについて考えもしないという人が多いのも、田舎が田舎だからこそ起こる出来事です。

田舎から都会へは一方通行だと思っていて、未だにこっちにやってくる人は逆走してる人なのだと思い込んでいるという人がいる。

この部分さえなくなれば、都会からだろうが海外からだろうが、誰もが自分だけの物語を充実させるために、行くべきところに行くようになるでしょう。そしてその田舎へのルートは最近整備されてきているような気配があります。

田舎への自然なルート作りをもっと進めるべきだと思う。

それは一人ひとりの人生設計を受け入れることであり、魅力的な物語を作るための舞台を作ることであったり、決められたルートを忘れることであったりするのではないかと思います。      

 

コメント

  1. まるも より:

    田舎から若者がいなくなる理由
    ①今の「建築基準法」が、その理由。
    なぜ?
     田舎は、わりとしっかりした家を建てているので、内装を、その時期、時期に合わせて来た。たとえば電気が増えれば、電気の配電盤を増設し、エアコン等に対応する。しかし、とうとう家を立替する時が来た。しかし、たいていの田舎の家は山を背に建てている。ある程度、山から離れた処に建てられていないと、現在の「建築基準法」には通らないので、今、住んでる処に新しい家が建てれない。立替を考えた時は、このまま田舎でのんびりと、・・・・。考えていても、今の処に建てれないとなると、考えが変わってくる。どうせココに建てれないなら、いっそ便利な処を探してそちらに引っ越そう。と、なるのである。

    • kzy より:

      まるもさん

      コメントありがとうございます!

      なるほど、勉強になります。建築基準法については知らないことだらけです。地域によるのでしょうが、田舎から人がいなくなるのはそういった現実的な要因が占める割合が大きいのかもしれませんね。

      まるもさんから見て、田舎から人がいなくなる理由だと思うことはまだございますか?理由①となっていたので続きが気になりました。

  2. とみー より:

    やはり時代錯誤な人が多くわずらわしいから。
    人の往来がなく物がないから他人の話にすぐなる。
    それも極端な例だったり誤解だったり。
    いわゆる低学歴の世界です。
    その世界の掟に合わせられるか否か。

    学歴て案外分かりやすいフィルターでしょ??

    • 塚田 和嗣 より:

      とみーさん

      コメントありがとうございます。
      そのような側面は確かにあると思います!
      僕も学歴という言葉を忘れかけてる低学歴野郎です。

  3. トミー より:

    どうもです。
    山口県周南市のカツオ事件、あれこそ
    裏日本そのものですよね。
    若い人たちは携帯ネイティブですから
    合わない人間はシカトという印象ですね。
    目下の天敵がアウトローでも外国人犯罪でも
    なく地域のオヤジと老人てコントなみのやるせなさw
    ちなみに統合失調症て田舎の長男に多いという
    逸話があります。

    • 塚田 和嗣 より:

      トミーさん

      カツオ事件について、記憶になかったのでググりました。
      これは極端な話ではありますが、狭い社会には(かつどんなコミュニティにも)少なからずあるマイルールが強固であればあるほどヨソモノは異物化してしまうという例だなと思いました。興味深い事件でした。ありがとうございます。
      少し違うかもしれませんが、僕の住む地域近辺でもそれぞれ町民性があり面白いです。そしてそれはけっこう根強い性質かもしれません。

      統合失調症にそんな逸話があるんですか。
      身も蓋もありませんが病気を患ってる方は家にいがちだろうし、田舎の長男も家に残る可能性がちょっと高いと考えるのが順当だとして、因果関係のねじれが見え隠れします。しかしだからこその逸話ですもんね。

  4. トミー より:

    まぁあれですよ。田舎にフロンティア精神を
    入れたいのであればTPPでもFTAでも締結して
    なおかつ英語教育の千本ノックで農民の利権を洗いざらい
    無くしてしまうしか方法がないのでは。
    最近、ネット右翼などというスラングが踊っていますが
    日本においてイデオロギー集団と聞くとおかしな新興宗教を
    イメージしがちですが今のネット右翼の正体は大半がイナゴの
    ような不平不満の農民層なんですよね。
    その不平不満の理由というのがまたコントなみに笑えるもので
    自分たちが現代の社会ヒエラルキーの底辺だと自覚しているから
    です。しかも自民や経済人も農民層の儒教文化を知ってて
    コントロールしてるんですよね。コントロールよりもchange
    させるべきなのにね。

    • 塚田 和嗣 より:

      トミーさん

      ご返信が遅くなりすみません。
      少し出かけておりゆっくり頂いたコメントを理解する時間が取れずにいました。

      というのも、個人的には右翼左翼もしくは社会的ヒエラルキーというものをあまり意識して考えたことがありませんので、仰る内容のイメージが容易ではありません。

      ≫TPPでもFTAでも締結して
      ≫なおかつ英語教育の千本ノックで農民の利権を洗いざらい
      ≫無くしてしまう

      ことでどのような変化が生まれるのか、またそれがどれくらい現実的な方法なのか、興味があるのでよろしければ詳しく教えていただけないでしょうか。

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