20年後に訪れる大介護問題

grayscale photo of man sitting on brown wooden bench reading news paper during day timeいなかを観察する
Photo by Craig Dennis on Pexels.com

間違いなく10年後、20年後に深刻な事態に陥るのは、介護問題である。

現状も介護問題は大変な状況にある、というか、介護問題は各家庭それぞれのタイミングで、それぞれの難易度で訪れるのだから過去と今と未来と単純に比べることはできないのだけど、それを踏まえた上で、国とか地域レベルで見て、10年後、20年後は非常に深刻な事態になることが僕の如き介護に片足の親指をツッコんでいる程度の人間でも予想できる。

だから今から深刻に考えなければならないことの一つだと思う。

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祖母を見ていると、高齢になれば絶対にサポートが必要って分かる

僕の家族の場合、85を過ぎた祖母が一軒家で一人暮らしをしているのだけど、認知症が進んでいて色々なサポートが必要。

僕と妻がしているのは、平日の夜ご飯を作って一緒に食べること、食後の血圧測定と記録、ついでにお薬を飲むのを見届けること。

その程度ではあるので(妻ではなく僕の場合は完全に身内だし)実際あまり負担にはなっていないのだけど、とくに夜は観察の時間であり、祖母がどの程度のことが分かっていないのか、どの程度のことが出来るのかを見るともなく見ることになる。

基本的な寝起きや排せつなどは普通にこなせるし、食事したことを忘れて夜ご飯を二回食べようとするとか、家族の顔が分からないとかそういう、いわゆる「認知症」と言えばみたいなことはまだないけれど、時間の問題だと思う。

今後もっとサポートが必要になるだろう。

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祖母の認知症具合を具体的に

具体的にどんな風に認知症が進んでいるのかというと、まず短期記憶の保持時間がどんどん短くなっている。10分前の出来事、下手すると5分前の会話を忘れている。

穴の空いたバケツに水を注ぐようだ、と思う。

文章で書けば、なんだそのくらい、と思うだろうけど、そんな出来事が生活に組み込まれると、あるタイミングでとてつもなく「嫌な気持ち」になることがある。

会話が出来ているようで、ほとんどすべて忘れるから徒労に感じる。これまでの経験で会話らしい会話をしているだけで、僕と祖母の間に積み上がるものがないから、かつては積極的にしていた報告や相談などはもうほとんどしなくなったのが悲しい。この時点で正直「大人」としてカウントしていない。

テレビの調子が悪くすぐ暗転するのだけど、毎度新鮮に「どうしてつかないんだろう?」と思っているし、事務所の電気が壊れていることも忘れて毎度新鮮に「どうしてだろう」と思っているのを見て僕は苛々してしまう。

ゴミの分別が酷く、ゴミ袋が大量に物置に溜まっていたりするのを発見する、忽然と物が消えることもしばしばあり、また忽然と現れる。役所なんかから来る文書を読んでいるようだがどうやら内容は理解していない様子。血圧の測定を忘れる。測定してもメモがうまくできない。薬がちゃんと飲めない。

食事は我々が作る代わりに食器洗いをやってもらっているのだけど、日に日に食器の片付け方が雑になってくる。いつもの場所に皿を戻せない。コンロ下の収納にボールが無理くり入っていたりスプーンがバラバラにしまってあったりする。洗い物も汚れが取れていないものが多々あり、調理前に洗い直しをしなければならないこともしばしば。

細々したことは挙げればキリがない。いずれも仕方ないことなんだろうし、性格が変わって怒りっぽくなったとかもなく、プロの手を借りなければどうしようもないということもないので緩やかな「ボケ」だと思う。

苛々するのはほとんど僕が未熟であるが故で、過去の祖母を知った上で色々できなくなってしまったことが分かるからこその憤懣であり、例えば介護職の他人が祖母を見たら極々軽いケースであり、人柄も穏やかで良いおばあちゃんと評すると思う。

だからこれは決して愚痴ではなく、単純に現在の様子を書いているだけなんだけど、本当はちょっと愚痴りたいのもある。

認知症だけじゃない、全身的な老化と家・家電の老朽化

さて認知症はそれだけが問題ってことは少ないのかもしれない。加齢に伴って各感覚器官がみるみる弱っていくことが分かるのも辛い。加齢で弱る器官の一つに脳があるってだけなんだろううちの祖母の場合。

臭いが分からなくなったのはけっこう前、耳は注意さえ払っていれば割と聞こえるが、予期しないことであれば全く気付かない。後ろから声をかけたりしても気づかず、チャイムに気付けず、電話に気付けない。注意力がない。

元々の性格が適当というのもあるけれど、テーブルを拭くタオルが清潔でないことに気付かず、洗濯機を回す機会も極端に減った。手拭きタオルは放っておけばいつまでも取り換えず、最近は同じ服を着てばかりいるようになったし、夏は畑仕事をほとんどしなくなった。

こうした本人の活動低下だけでなく、テレビの不調とか、レンジの不調、洗濯機の不調、ネット回線の不調などあらゆる老朽化や不具合も人に劣らず容赦なくやってくるが本人はそれを問題として記憶に保持できず、毎回そのときに「おかしい」と気づくだけで、どうこうする気力がない。

加齢と認知症によって、生活の細々とした部分を維持できなくなっている。非常に目立たない領域で、他人には分からない程度の速度で、進んでいる。

問題に発展する前の段階で本人が問題と思えず、周りの細々とした観察とサポートがなければどんどん事態は酷くなっていくだろうと思う。

徘徊するとか、怒鳴り散らすとか、顔を口紅で真っ赤にするとか、あと詐欺に引っかかるとか、そういう他人から見て「認知症だ」と分かる段階以前にそういう小さなステップがあるって最近すごく実感してる。

老化・老朽化を観察する層の薄さが大問題

さてようやく本題なんだけど、僕が問題だと思うのは、この観察をする世代がほとんどいないということ。

僕の世代の人間、つまり僕の同級生とか、ざっくり前後10歳くらいの年齢の人(25歳から40歳くらい?)は、多くが地元を離れ自分の生活を営んでいると思う。

体感では40歳より上の世代では、この地域、まだ地元で働いている人が目立つのだけど、僕の同級生はゼロ人。そもそも分母が少ないので仕方ないけれど、家族の高齢化、町の高齢化、および両者の老朽化を段階的に見ている層がやたら少ない。やたら。

その上で問題となるのは、10年後、20年後、自分の親、つまり今50代後半から60代後半くらいの親に、介護や、それ以前のサポートが必要になったとき、できるか?という話。

間違いなくできない、というか、気付けないと思う。気づいたときにはもうプロの手に任せなければならない事態に陥ってるのだと予想する。

あまり実体は知らないけれど、傾向として子どものうちの一人が親の介護を一手に担うというケースが多いんじゃないかと思う。介護負担にはムラがある。子育てと同じで日々の観察に意味があるから、どうしても近くにいる方だったり、観察能力が高い方に負担が生じる。

しかし僕ら(今の30代)が自分の親の介護をしなければならないとき、下手したら二人の子どもがどちらも都会にいるとか、遠くにいるってケースが多いんじゃないかと思う。体感だけど。よって身内に頼れない勢がものすごく増えるんじゃないだろうか。

現役世代の貧乏と人口の乏しさが20年後の介護問題に響く

いざとなったらプロに任せりゃいいじゃん、その手続きくらいできる、と思う人もいるかもしれないけれど、そのプロが、現在ほどいるだろうかって問題もある。

僕らの世代前後の人口は非常に少ない。税負担の問題が取り沙汰されることが多いけど、単純に人口バランスが激悪ってだけでもう辛くて、大量の介護サポートが必要な老人に対処する人の数が保てるか?という問題。

待機児童問題のようなことが老人で起こるだろうし、介護保険料はじめ、施設の介護料やサービス料は間違いなく上昇するだろうがそのお金を払い続ける力が我々世代にあるか?と言えば今のままで行けばまあ間違いなくない。

賃金は下がっていて、税負担は増えて、貯蓄に意味はなく、成長の見込みはなく、子どもを持つのも困難で、すごい勢いで貧乏になっている。

その貧乏度合いというのは、残念ながら上の世代には想像ができない。理屈では分かっていても想像ができない。もちろん僕も含め、人には意外に想像力がなく、たいていのことは目の前で自分のこととならない限り想像ができない。想像しかできないと言った方が良いかもしれない。

介護問題に今から備える必要があるのではないか

このような問題意識を最近俄に持ち始めている。

じゃあどうすれば良いかと言うと、正直な話、今の50代、60代は介護難民になることを見越してできる限り自衛してくれ、備えてくれと言う他ない。つまり、覚悟してくれ。

そのときになれば子が親の面倒を見るのは当たり前だとは一応思う。

けれど、現実問題、我々には時間、お金、労力的な余裕がない可能性が高い。それは今の今、身内の介護の必要に駆られている人も同じだと思うけれど、10年後、20年後は時間と労力がかけられない分プロに頼むという手段が取れない可能性がある。

プロに頼めたとしても高額になり、金銭的な余裕は全くなくなってしまうので無理。自分たちで何とかしてくれ。

だけどこれじゃあんまりだ。諦めが早いのが僕の悪い癖。もう無理じゃない?僕は降りるよ、ってスタンスを取ることが僕はあまりに多い。

だから今の50代、60代の皆さん、子には期待しないでくれと思うのは正直ちょっと本音なんだけど、この問題はそう簡単に降りるわけにいかないなと思う。

よってもう少しあれこれ考えよう。ちゃんと本も読まなきゃなこの問題について。

少なくとも、今からこの未来を覚悟して準備しておくべきって思ってることは伝わったと思う。

明日、この準備に関してもう少し具体的に考えてみる。

 

 

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