コミュニティスペースの使い方を自分で考えてもらいたいワケ

旧佐藤医院

我が町のコミュニティスペース「旧佐藤医院」で殊更に「使い方は利用者に託されている」「自由に使ってください」と言っている意味を改めて書いておきたいです。

何度か書いていることではあるのですが、この点に絞って書いたかどうか分からないし、書いたから伝わるなんてことでもないので伝えたいことは何度も書くのであります。

 

旧佐藤医院
北海道士別市朝日町にある、コミュニティスペースです。元病院です。

 

「旧佐藤医院」の使用方法を制限していない、もしくはこちらからはほとんど「この部屋はこういう風に使ってください」と言わないのは、ひとえに「建物を大事にしてほしいから」です。

どういうこと……?となるでしょうか。

僕らが求めるのは「オリジナリティで以て旧佐藤医院を使ってくれ」ということで、その意図は、そうやって「自分のやり方で場を整え活用することで、場の尊重が自分事になると踏んでいるからです。

人の物だから大事にする、価値のあるものだから大事にする、ということも大事なのですが、僕らはもう一歩進んだ大事にされ方を希望するのです。

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現状、旧佐藤医院は人の物だから、価値のあるものだから大事にする、という人が圧倒的に多い。

ありがたいことに、旧佐藤医院を訪ねてきてくれる方は建物をとても大事にしてくれます。

僕らが何も言わなくても、不用意にモノに触ったりする人はいません。ドアの開け閉めも丁寧にしていただけるし、勝手に戸棚や引き出しを開けて回るような人もいません。

中を見ても良いですか?と聞かれることがたまにあって、どうぞご自由にと答えるのですが、それでも必要以上にあちこち触るという方はいないです。

本当にありがたいことですが、それは人の物だから大事にしてくれるのであり、もしかしたら高価なものかもしれないと思うから触らないでいてくれるのだと思います。

何度も言いますが本当に来ていただける方のモラルの高さはありがたいことです。

しかし、場を活用するという観点に立つと、少しだけ物足りなく感じるのも事実です。

例えば、ほとんどの人は椅子に腰かけることなく、博物館を見て回るような様子で帰ってしまいます。たくさんある本が読まれることはなく、オブジェと化してしまっています。

少しもったいないような気がします。

使わないものは朽ちる。活用してこそ建物は活きる

建物の保存や場の維持という名目において、壊れないよう、侵さないように配慮していただける、というのは本当にありがたいことですが、「活用されなければまた朽ちる」ということも僕は重要視したいところです。

建物に人が入らなくなると、風が通らなくなると、たちまち老朽化する、ということはよく知られていると思いますが、それは大まかな視点であって、もっと細分化してみることができます。

例えば水道は使わなければ水道管が錆びます、ドアの開け閉めがなければ埃が溜まります。

人間も食べないと消化器官が機能しなくなるし、歩かないと筋力が落ちます。使わない組織は朽ちるようになっています。大事にするということは必ずしもそっとしておく、ということに限りません。建物も町も同じだと思います。

だからこそ建物の維持には「活用」が大きな課題になるのですが、それじゃあ、使うだけで良いのか?使えば使うほど良いのか?というとまた問題がある。

世の中、先ほど言ったようなモラルの高い人ばかりではないでしょう。自由と言えば好き勝手に散らかしたり、モノを壊したり、何かを盗っていったりする人もいるものと思われます。

モラルは必須だし、建物を普通に大事にするということは大前提ではあります。

ただ、これは言えば済む問題でもありません。僕らが考えるべきは、どうすればモラルの高い人に向けて情報を届けられるか、そしてどうすれば彼らに(活用という文脈で)建物を大事にしてもらえるか、です。

より建物を生きたものとするため、オリジナリティを持った人に向けたオリジナルの情報を発信する必要があると思うのです。

オリジナリティの許容が自分の空間づくりに繋がる

オリジナリティが何を生むかというと「自分の空間である」という意識だと思います。

誰でも自分のもの、自分の空間は大事にするものだと思います。それは人のものだから大事にするという意識とはまた別の、少し特別な思い入れです。

例えば画用紙がある。ありふれたただの紙でも、そこに絵を描けば、その紙切れは自分にとって特別な一枚になります。こういうことを建物でできたらどうでしょうか。

オリジナルな使い方をすることで建物に対しこの特別な感覚を持っていただくことができれば、旧佐藤医院は公共の建物でありながら、限りなく自分のプライベートな空間である、という状態を作ることができます。

オリジナリティの許容の幅を広げ、なおかつ普通に建物として大事にしてもらうため、旧佐藤医院ではなんとなく会員制度を採用しております。

会員になるか否かはそれぞれの裁量に依りますが、基準としてはレイアウトの変更やスペース利用のスケジュールを優先的に融通すると言ったことを望む方に年間3000円ほどをいただいています。

建物を利用してくださるみんなが自分のもののように大事にしてくれる、という形で建物の維持と活用ができるのが理想です。

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