ひとをトランス状態に導く文章

text表現力の向上を目指して
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表現にはグラデーションがある。

グラデーションとは、実用→非実用のグラデーション。グラデーションというからには極と極があって、極同士の様相はほとんど正反対と言って良いほど違う。

絵も音楽も文章も、ごりごり実用的に利用(作成)されることもあれば、「ある」というだけで誰かの人生の質を上げる非実用的、少なくとも実用的かどうかを気にされず利用(ん?ややこしい書き方してしまった)されることもある。

文章の実用的な使い方で言えば、例えば「男湯」と「女湯」の表示とか。非実用で言えば小説とか?

ブログ記事は実用的であった方が良いと思う。知りたい情報をピンポイントで伝えられるのが良い。「PS5を希望小売価格で、かつ最短で手に入れる方法」とか。

だけど僕が好んで読むのは非実用的な文章であって、意図が明確な文章は利用はするけれど好きになるわけじゃない。

こんな風に書けば僕が基本的に読まれないブログ記事を書き続けている言い訳にしか聞こえないかもしれないけれど、そんなことではない。

僕の記事が読まれない理由は非実用的な文章の中でもとくに「ひとをトランス状態へ導く」類の文章を書けていないから。

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ひとをトランス状態へ導く文章ってグラデーションで言ったらどのくらいの位置か

ひとをトランス状態へ導く文章って、冒頭で言ったグラデーションで言ったらどこにあるのかと言うと、きっと「究極に非実用的な文章」の3段階くらい手前なんだと思う。

本当に非実用的な文章って例えば「読めもしない言語で書かれた古書」とか「昔もらった手紙」とかじゃないだろうか。もう文章っていうか「もの」としての価値しかないって感じ。それも一般的な価値というよりは「思い入れ」とかそういう個人的な価値に振り切ってるやつ。

そういう意味で言えば、「ひとをトランス状態へ導く文章」が3段階くらい手前の、非実用的寄りだけどまったく実用的ではないとまでは言えないって位置なのは分かると思う。

じゃあ「ひとをトランス状態へ導く文章」って具体的にどんな文章なのかと言うと、そういう文章を書く人に僕は何人か心当たりがあるのと、そういう小説を何冊が思い浮かべられるのだけど、これは人によって違うと思うから別に言わない。

し、「これが人をトランス状態へ導く文章ですよ」と言って紹介して、仮にあなたがそんなら読んでみようと思った時点で、僕が言うグラデーションの位置から少し「実用寄り」になってしまって、僕の意図する方法で伝わらない。

100%当たる予知が絶対に当たらなくなってしまうのと似てる。

だからもっと概念として、ひとをトランス状態へ導く文章について書いてみようと思う。

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「ひとをトランス状態へ導く文章」とは

「ひとをトランス状態へ導く文章」というのは、読んでいるうちに頭の中で化学反応が起きて、自分でも何か考えたくて仕方なくなるような文章。

もしくは、一文読んでは立ち止まり、また一文読んでは立ち止まり、いちいち余計なことを考えてしまう文章。自分の思考が触手を伸ばして方々へ延びていき、ツタ植物のように考えに覆われてしまうような文章。

結局同じことしか言ってないっぽいな。

ちなみに最近のブログはほとんど保坂和志著『小説の誕生』という本をそんな感じでちょびちょび読みながら、僕も何か書きたいな、考えたいな、書き残して整理したいな、という感情に動かされて書いてる。何回か前にも書いたけど、文章の書き方が保坂和志の影響を受けていて、積極的に受けにいってる感がある。

だから僕にとって保坂和志は「ひとをトランス状態へ導く文章」を書く人で、あ言っちゃってる、具体的な文章は挙げないと言ったばかりなのに言っちゃってる。

これは僕がトランス状態へ導かれた文章のほんの一部だからまあ良いか。

他にもいっぱいあって、ただし、そういう文章は意外にも少ない。文章の方に出来不出来があるというより、自分に合うか、もっと言えばそのときの自分に合うか、という問題の方が大きそう。

このブログを読んでくれている人はきっと、僕の文章を評価してくれているわけじゃないだろう

僕の場合はもっぱら文章だけど、人によっては「音楽」に当てはめたら僕の言ってることがよく分かるという人もいるだろうし、「絵」に当てはめたら、という人もいると思う。

これも何が優れているというわけじゃなくて合う合わないの問題で、合うものはとことん合うのだから面白い。

それで冒頭の話に戻るけど、もしこのブログを定期的に読んでくれている人がいるのなら、それは僕の文章に合う人なんだと思う。

僕の文章そのものを評価しているというより、この、微妙に実用的になりきらない文章を読んで、なんか芽生えそうな感じとか、なんか喉元まで出かかりそうな感じとか、そういうものを目的にして読んでくれているのだと思う。

もしそうだったら僕は少なからず、まだまだそんなパワーがあるとは言えないにしろ、「ひとをトランス状態へ導く文章」ってのを書けている瞬間があるのかもしれない。

 

 

 

 

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