という記事を書いたのですが、よく考えたら、言語学習ストラテジーって言葉自体が一般的じゃないかもなって思いました。
言語学習ストラテジーとは、言語を学習するときの工夫や戦法です。どうやって勉強するかということ。
そんなん、読んだり、書いたり、話したりだろ?と思われるかもしれませんが、そこのところをもうちょっとアカデミックにというか、体系的にというか、しかし固くならないように説明してみようと思います。
なんでそんな説明をするかっていうと、自分がいまどんな学習をしてるのかなって意識することは少なからず勉強の役に立つと思うからです。
闇雲に勉強してる気がするときってありますよね。これ意味あんのかな?とか思ったりして。
その試行錯誤、全部意味あるんだよ!って話をしたいのです。
Contents
直接ストラテジーと間接ストラテジー
レベッカ・L・オックスフォードさんという人が数多ある言語を学習するときの方法や手段を体系的にまとめて分類しました。
まず大きく、直接ストラテジーと間接ストラテジーの区別がある。
なんとなく分かりますよね。目的とする言語に直接アプローチする工夫、読むとか書くとか話すとか、そういう直接、その言葉を普通に勉強するのが直接ストラテジー。
間接ストラテジーとは、言語学習周辺の工夫です。
例えば、英語漬けの生活、少なくとも英語漬けの時間が必要だと考えて、良さそうなアプリをダウンロードしたり、おすすめアプリが紹介されているブログを読んだり。
そういう時間も目標言語を習得するために費やしていますよね。そして上達のためには必要でうす。
より詳しく、直接ストラテジーと間接ストラテジーを説明します
直接ストラテジー
直接ストラテジーは3つに分けられています。語感で難しく感じるかもしれませんが、具体的な内容を聞けば心当たりがあるものばかりだと思う。
・記憶ストラテジー
記憶するための工夫をまとめてこう呼びます。
いいくに作ろう鎌倉幕府とかって覚えたと思うけど、あれは「語呂合わせ」という記憶ストラテジーを使っているということになります。
忘れたくないものを何度も書く、数秒置いてから思い出す、と言った記憶するための工夫です。みんな自己流のがあるはず。
・認知ストラテジー
これ僕も曖昧な印象なんですけど、僕らが普通に「これが勉強ってもんや」って思ってることが認知ストラテジーに当てはまる気がします。
例えば、英語を身に付けたいと思ってテキストを読む。意味が分からなかったら辞書を使って調べる。覚えた単語の使い方を詳しく知りたいと思って例文を検索する。
ある表現について分かりにくかったら優しく解説してくれているチャンネルを探す。
目標言語について、知ろう、分かろうとする努力をする際に行うのが認知ストラテジーです。
・補償ストラテジー
補償ストラテジーは、知識不足を補うための工夫という風に説明されます。
んー例えば、どちらかというとこれは実践時によく使うものだと思うんだけど、言ってることがよく分かんなかったら表情で推測したりしますよね。
同じように、自分が喋るとき、言葉が出てこなくても表情とかジェスチャーとか、あらゆるものを利用してコミュニケーションを取ろうとするはず。
言語学習をするときって、できるだけこの補償ストラテジーを使わないようになりたいってのが正直なところだと思う。
でも全然バカにできなくて、少なくとも、言葉がダメだった場合を想定しておくって良いことかもしれません。
間接ストラテジー
間接ストラテジーも3つ。
直接目標言語に関わらないところの工夫です。もしかしたらこっちばっかり考えて、直接ストラテジーがおろそかになってしまう人って多いんじゃないでしょうか。
僕はそうです。形から入ってやらないっていう。
・メタ認知ストラテジー
メタ認知ストラテジーっていうのは、さっき直接ストラテジーのところで挙げた認知ストラテジーをちょっと引いたところから評価したり、活用したりすることを考える方法です。
例えば多読多聴が大事だな!と思ったとする。この方法自体は認知ストラテジーに入ると思う。
じゃあそのためにどうしようか、コストを計算して、もっとも効率よく目標言語に触れ続けるために負担がかからない方法はないだろうかと考える。
こういうことを考えてる時間は目標言語の勉強はしていませんよね。でも目標言語を効率よく学ぶためには必要な手続きです。
このように、学習そのものよりも、学習法に対する工夫をメタ認知ストラテジーと呼びます。
もっとも集中できる時間や場所を考えて整えるとか、よし一日4時間勉強するぞって目標立てたり、昨日作った作文間違ってないかな?って確認したりすること。
学習そのものを評価・活用・観察・調整する、と言ったところでしょうか。
・情意ストラテジー
これも割合いとして多くなりがちです。
目標達成ができたらご褒美にあれを買おうとか。
既に目標言語がペラペラで、それで仕事もしてて、ネイティブの人にも認められててみたいな人を見て嫉妬心を燃やしモチベーションを上げるとか。
やりますよね。
・社会的ストラテジー
社会的ストラテジーは自分以外の人や環境を活用しようとすることです。
文法とか発音とか間違ってたら言ってほしいと誰かに頼んだり、
言語学習ストラテジーは複雑に絡み合ってる!
ここまで読んでくれた人は気付いたと思うけど、なんだかんだ少なからず全部やってるだろうし、どれかやろうとしたらどれかがついてくる、みたいなところないか?って思わないでしょうか。
この言語学習ストラテジーってあんまり知る必要なく、とくに教わる必要もなく、みんな自然にやることです。
例えば、英語学習系のyoutuberのコンテンツを見て勉強しよう!という単純な行為にも、いろいろなストラテジーが隠れています。
特にすごいなあって思うのはバイリンガールのちかさんのコンテンツ。
バイリンガールちかさんのコンテンツにはストラテジーがいっぱい
単語や表現レベルのレッスン動画もあれば、実践で役立つリアルな英会話の場面を見せてくれたり、流行の話題を取りいれたりといろいろ視聴者を飽きさせないコンテンツ作りをしている。
以下の動画はレッスン動画の中のお気に入り。
加えて人柄の良さが動画に表れているから、質問したり、イベントがあったら会いに行こうと思う人も多いと思う。
動画を見ること自体が直接ストラテジーの宝庫だし、人柄がどうこう言ったら個人の感じ方に差があるので御幣があるかもしれないけど、嫌味がなく親しめるチャンネルという意味で視聴者のモチベーションアップにつながっていると思う。
というわけで普通にファンという話なのですが、バイリンガールちかさんのコンテンツにはすごい量のストラテジーが詰まってる、というお話しです。
他の英語系youtuberのコンテンツもよく見るしいずれも素晴らしいのですが、僕はちかさんのコンテンツに一番親しんでるなと思います。
頭に天才の教師を飼うストラテジーがおすすめなのも色んなストラテジーを使えるから
でおすすめした、頭の中にいけ好かない天才を飼い、教師に仕立て上げるというのも本当におすすめです。
この、教師を一人頭の中で仕立て上げるという方法そのものが間接ストラテジーなんだけど、この教師に質問するのは社会的ストラテジーの応用、この教師を通して自分の思考や勉強法を客観的に評価するのはメタ認知ストラテジー、嫌味ったらしいことを言わせることでクソって思ってモチベーションがアップするのは情意ストラテジーに当てはまります。
直接ストラテジーを駆使して勉強する際にも、頭の中に教師がいることでより深く単語について理解できる。認知ストラテジーです。架空の第三者を天才に設定することで、自分では調べなかったというところまで調べるきっかけにもなる。
例えば天才なのにある単語の語源を知らないって変……という風に頭の中で考えてしまうのですよね。天才に語源を解説させるために語源を調べるという回り道をすることができる。
直接勉強になってないなあという領域、モチベーションを上げたり、環境を整えたり、誰かにあこがれたりするのも全部勉強なのだ、というお話しでした
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