大介護問題が訪れると信じてやまない。
小さな視野からモノを語っており、専門書の類を読んだわけでもないので無責任な話だけど、僕は漠然と20年後が大介護問題でヤバくなるって思ってる。
20年後っていうのは、自分の親に介護、もしくは生活のサポートが必要になるだろうと思われるまでの時間であって、本当に自分目線なんだけど、あながち的外れでもないと思う。
これを読んでいる方は40代、50代かもしれず、もう既に介護問題に悩まされているのかもしれないけれど、そこには意識的に目を瞑り、世の中的に、日本全国レベルで介護やべー介護やべーってなるのって楽観的に見て20年後くらいじゃない?って思ってる。
なぜなら、20年後、僕らが自分の親くらいの歳になったとき、自分の親世代ほどお金を持っている想像が今のところできず、介護のプロと言える人口も相対的に減るだろうと思うから。
つまり、「労力がかけられなければお金を使う」という手段が我々には取れない可能性が高く、必然、ならば労力と時間を親の介護に割くべきだけど、こっちだって朝から晩まで働かなければ生活がままならない、みたいな状況になることが予想されるが故にやばい。
加えてコロナ禍の影響を多分に受けての考えだけど、今は過疎地と都会の分断が激しくなっていて、親の老化観察という行為が十分に行えていないのではないかという懸念がある。
コロナ禍関係なく、そもそも親の老いというものは想像しにくい。それは酷く緩慢にやってくるし、言うても子はいつまでも子だから、心のどこかで「自分の親はちゃんとしてる」って思ってるところがある。
老化は理解しているけれど、それはあくまで「あるある」の話であって、笑い話の域を出ず、問題となって生活にのしかかってくる想像というのはしにくい。
例えばスマホの扱いが怪しいことは知っているけれど、適当に取ったアプリの広告を踏んで知らないうちに謎のサブスクリプションサービスに加入し、いつのまにか高額を吸い取られている、という事態にならなきゃ「うちのオカンあるある」は問題として浮上しない。
親の携帯の各種アプリ等の契約状況までは普通知らない。日頃から、「これこれこういうアプリを探してるんだけど……」というレベルの相談から子にできるのであれば問題にならないけれど、たまに帰ってくる息子娘ではこのレベルの相談を受ける機会が少ない。
老化は知っていても、「老化」と「問題」の間にはいくつかのステップがあって、子が近くにいれば防げることはいくつもあるが、それができない。
同じことは「まち(地域)」にも言える。
町に暮らす人の高齢化はもちろんだけど、建物、サービス、インフラあらゆるものが老朽化する。
もちろん更新されたり新たに生まれるものもたくさんあるけれど、人が容赦なく老い、減っていく以上、全体的な衰退から免れることは絶対にできない。あらゆる成長も挑戦も足搔きでしかないというのが現実。
田舎が田舎だということは誰もが知っているけれど、田舎は田舎のままでいつまでもあるような気がするものだと思う。親が老いてもなんだかんだ「親性」を維持してくれていると期待するように、なんだかんだ故郷はあるものだと感じるのが普通だと思う。
だけど現実は、もうとっくに取返しのつかない状況に陥っている。僕の故郷は長く持たないだろう。通ってた小学校と高校はもうない。中学校もそのうち取り壊すことになる。母校がなくなるように当たり前に故郷がなくなるだろう。人間がいないのだから仕方ない。
大掛かりなテコ入れとか、大胆な改革とか、革新的な技術の導入がなければどうしようもないところまで来ている。
サスティナブル、SDGsの言葉が最近ようやく人口に膾炙しはじめたけれど、これを理解し、起業戦略や先進性アピールの意味ではなく、20年後、30年後、それ以降のために機能させられる未来が来るのだろうか。
いずれにせよこれは10年前に志さなければならないものだった。
サスティナブルは置いておいて、介護問題。これも今から準備しなければもう間に合わないと思う。けど解決する方法はない。人は絶対老いるし子の世代は親世代を支えきれない。よってできる範囲で頑張るしかないけどできることがそんなに多くない。
田舎が目指すべきは成長とか観光地としてのアピールとか移住促進とか以前にまず「お片付け」が必要と思う。
今定年を迎えようとする世代に生活サポートが必要となるとき、人のサポートやケアも必要だけど、不要になった大きな家、使わない施設、荒れ果てた土地などなどが僕らの世代の負担となってどっとやってくる。
自分の老いた親を満足にサポートできるかどうかも分からない現状で、それら「どうすんだこれ」の数々をどうすれば良いのか。どうしようもない。外国人に売って統治してもらうのだろうか。それもまた感覚的には故郷の喪失だし、それならそれでその準備が必要だろう。
さもなければ放置する他なく、インフラの整備にも限界が訪れ、誰も住めなくなる。故郷の喪失と親の見捨て。そんな未来が順々に訪れると思う。
介護ロボットが普及して安価で高質な介護があちこちで受けられる未来。
介護職の待遇が劇的に上がって大人気職となり介護大国として世界の手本となる未来。
今ご高齢の方達が倒れて後は平均寿命がガクンと下がり、言うほど若い世代が介護に手を焼く必要がなくなる未来。
移民を大量に受け入れ、新たな秩序で地域が維持される未来。
理想論というか穏やかな論で言えば自助と互助の文化を地域に作ること。町全体で老いと世話を互いに受け入れ、誰もが近隣を、道端で困っている人を、密かに困っている人を支える文化を作る。
お互い様精神で人が人を頼り、人が人を助ける。そこに負い目を感じることも遠慮をすることもなく、かといって手助けを当たり前とも捉えず、サポートしやすい空気を作る。
机上の空論だと思うけどそうする他には親の老後を穏やかにする方法も、地域を存続させる方法もないと思うから絶望的。
コメント