プライムビデオで映画『レディ・バード』を見ました。
本編中に以下のようなセリフがありました。
「同じことだと思わない?”愛情”と”注意を払う”は」
don`t you think maybe they are the same thing?
“Love”and”attention”
とても良いフレーズだなと思ったのでメモ&シェアです。
あらすじなどは特にご紹介しないので良かったら予告編をどうぞ。
注意を払ってよく観察する、ということそのものが愛情である
タイトルのセリフは、主人公レディ・バードが学校のシスターと会話する短いシーンでのことです。
レディ・バードが書いた小論文を読んで、彼女が住む小さな田舎町であるサクラメントへの愛が窺えるとシスターに言及されます。
自分が住む小さな町から抜け出したいレディ・バードはあまり気付いていなかったかもしれないけれど、注意を払ってよく観察する、ということそのものが愛情であると後に納得するために重要なシーンのように思います。
観察と愛着
自分の身を振り返って考えてみても、確かについ、注意を払ってしまうものがあります。
人だったり場所だったりモノだったりします。
ときにそれは不快な感情を引き起こすことがあるかもしれないけれど、それは注視した結果であって、「注意を払うこと」自体、愛のしるしだと気付きます。
たとえばこのブログに関連して言えば、ぼくは自分の町に注意を払っている。
気に入らないところも物足りないところもあるけれど、冬のスキー場の灯り、夕食時の焼き鳥屋さんのにおい、バス停、かつての通学路、いやすべての道、どんな季節にも、細切れのエピソードが含まれている。
そういうものについて考えるのが僕は好きです。
レディ・バードは親子の話でもある
レディ・バードは親子の話でもあります。
うちも赤ちゃんが産まれて、年が明けて少ししたらようやく一歳になります。
妻は毎日の食事内容、排せつ回数と時間、授乳回数と時間、睡眠時間などを育児日記に記入してくれています。誰が見ても子どもの様子が分かります。とても健康な良い子です。
我々親にしか分からない変化もあります。
「この日、手の存在に気付いた」とか「もう物をしっかり持つようになった」とか「いつからか感情を持って笑うようになった」とか。
日記に書き記すほどでもない、そういうことを夫婦で共有するのは尊いことです。
赤ちゃんの二十四節季、七十二候
そういえば少し余談になるけれど、二十四節季や七十二候をご存知でしょうか。
一年は春夏秋冬4つの季節に分けられていますが、それぞれをさらに6等分して24に分けた名前も付けられています。その一つひとつをさらに3つずつに区切った名前も付けられています。
七十二候ともなれば、およそ3日~5日ごとの世界の変化を示していることになりますから、とてもとても細かい様子がそのまま名前になっていたりします。
たとえば僕が生まれた季節、5月のはじめごろは取り立てて分かりやすいので例に出しますが、二十四節季では「立夏」と呼ばれるこの季節、七十二候では「蛙始鳴(かわずはじめてなく)」→「蚯蚓出(みみずいずる)」→「竹笋生(たけのこしょうず)」という風に名が付けられています。
以下のサイトですべて見られるので興味のある方はぜひ。この自然に対する観察眼は美しいです。自然に対する注意深さを、そして愛を感じます。
赤ちゃんの変化を見ていると、この七十二候を思い出します。
昨日できなかったことが今日急にできていたり、先週なかった徴候が今週芽生えたり。まるで季節の移り変わりのようによくよく注意して観察しなければ分からないほど微妙に、しかし着実に、日々目まぐるしく変化している。
「同じことだと思わない?”愛情”と”注意を払う”は」
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