何かを作る、生み出す、表現する、発信する。そんなとき、「枠」が大事。「枠」も大事。ということを最近は考え続けています。


この記事では、過去の二記事よりもっと創造的な分野、クリエイティブな分野に絞って「枠」について考えていきたい。
一番言いたいことは、総クリエイター時代と称されることもある現代において、コンテンツだけ作ることってもったいないかもな、ってこと。僕ら絵を描くのと同じくらいの真剣さで、額縁を作ることにも意義があるんじゃないか。
「内容(コンテンツ)」を作る、見せるのは簡単になった。が、「枠(プラットフォーム、舞台、企画)」はどうだろう。
僕が自分の書いた小説を誰か、自分の知らない人に読んでもらえることができるってだけでかなりクリエイトや表現の敷居って低くなってるなと思う。
ほら、こんなに簡単に自分が書いたものを載せることができる。もちろんリンクを踏み、1万字にも及ぶテキストを読んでもらえるかどうかは分からないけれど、こうしてとりあえず人目に晒すことはできる。
もう自分で書いた小説を晒すことは恥ずかしくもない。心理的な抵抗もない。これは慣れもあるけれど、時代の影響もあると思います。
だけどもしかしたら「枠」を作ることを「内容(コンテンツ)」を作ることと同様程度に考えてる人はまだ少ないかもしれません。
考えてみれば、内容(コンテンツ)をこんなに簡単に発信できるのだから、枠の方だって創造、発信することが誰でも可能なはずです。
文学は昔から「枠」で遊びがちだと思う
文学の話に関して言えば、「枠」で遊ぶことが多いような気がします。
例えば「140字小説」と言えばツイッター上に投稿される小説で、一投稿の上限である140字で物語を作るというものです。
もしくは「54字の物語」というのもありましたね。54字なのでものすごく短いお話しで、少し考えなければ意味が分からないものが多いような気がします。
気になる方はツイッター上で「#140字小説」「#54字の物語」で検索するか、普通に検索窓で検索してみてください。いくつも作品が出てきます。
これは内容の面白さ以前に「枠」の面白さがあるからこそ盛り上がりを見せるのですよね。
しかし考えてみれば、このように「枠」を設けてその中で物語を楽しむというのは文芸の世界ではかなり古くから行われていることです。
和歌や俳句はまさに「枠」の中でどれだけ優れた表現ができるかに面白みがある文学の形態であって(俳句なんて17文字!)、140字小説や54字のものがたりもこの系譜なのかもしれません。
それとは別に、これは「小説」では読むのがかったるい、だけど物語は楽しみたいという現代のニーズとSNSという媒体に即した「枠」という感じがして、そういう意味でも面白いですね。
また、普段小説を読まない人も「140字小説」なら読む、「54字の物語」なら読む、という人は多いはず。そういう人は小説を読んでいるというより「枠」を読んでいるんですよね。
ブンゲイファイトクラブ
僕にとって最近すごく魅力的だと思った「枠」に、電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」の企画による「ブンゲイファイトクラブ」があります。
概要の冒頭だけ引用させていただきます。
文芸作品のオープントーナメント、作品による殴りあいです。
より詳しく知りたい方は以下からどうぞ。
作品を読む前からもう作品を読むのが楽しくなってきませんか。
これは僕が文芸の分野に惹かれるからこそかもしれませんが、ただ小説の投稿サイトに応募された小説を読むのとか、ただ書いた小説を置いてあるのとは違って、「ブンゲイファイトクラブ」という枠(ルールがある舞台)の中で読むという面白みがある、ということは伝わると思います。
このように例を見ていくと、内容(コンテンツ)を作ることと同じくらい、「枠」を作ることにも意義があると思いませんか。
内容(コンテンツ)は以下から読むのがスムーズだと思います。

枠を作ってから内容を見せたらどうだろう?と考える
誰でも簡単に魅力的な「枠」が作れるかというと、「内容(コンテンツ)」と同じで、そうとは限りません。
誰でも簡単に自分で撮った写真や自分で書いた小説を公開できるからと言って、「誰でも」素晴らしいものが作れるとは限らないです。
でも、小さくても稚拙でも、僕ら意識的に「枠」を作ってみる価値はありますよね。既存の枠の中で楽しむのももちろんアリだけど、オリジナルの枠を作るのもアリ。むしろ可能性が広がるからやった方が良い。
そしてそれをどうですか?って感じで人にお披露目することも現代ならできるはずです。
「これは素晴らしい絵だ。よしこれに相応しい額縁を選ぼう」という思考とは別に「この素晴らしい額縁に入れるべき絵は何だろう?」という風に作られる「内容(コンテンツ)」もあるだろう。
それが多くに受け入れられるか、ここで紹介した140字小説や54字の物語、もしくはブンゲイファイトクラブのように盛り上がりを見せるかは別として、コンテンツをどんな枠に入れようか?を考えること、なければ枠を作ってから人に見せたらどうだろう?と考えることはやる価値のあることだと思うのです。
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